2016年6月2日

羸痩(るいそう)と餓死

ここのところ、癌による「羸痩(るいそう)」の方の復元依頼が増えて来ました。ご遺族から教えていただいて個人的に感じることは、自然死に近いと思っています。

お別れに来られた方で、初めて対面される方は大変驚かれることも多いと思いますが、状態だけ見れば、脂肪分が大幅に減るので、骨に皮がピッタリと張り付いている状態です。

その状態になると、眼球の水分が抜け、まぶたの脂肪分も減り、厚さ自体が減るので、目がガッと開いてしまうことが多くあります。通常は他のお手当にプラスして、15分くらいで元に戻ります。目が大きく開いていれば、ご遺族も弔問の方も驚くので、お声が掛かります。

本当に⁉︎

復元後には、腰を抜かして驚かれる方が多く居られます。

元に戻ると思っていなかった!

と、びっくりし過ぎて、ふすまの戸を後ろへ倒してしまった方も居られます。故人とご家族が、生前の関係性に戻ります。形を戻して整えたら、

色の仕上げの段階からは、ご希望によりご家族と行います。好きだった食べ物、飲み物のお話が盛んになり、棺へ安置する前の時間は、故人を囲んで和気藹々になることが、多くあります。

羸痩は、医療チームが痛みを軽減したり、体が食べ物を受け付けなくなったら、体に合わせて、苦痛を感じないように、辛くないように見守ってもらった、それが羸痩の背景です。

「痩せていく途中で、看護師さんに「イケメン」と言われたお父さんは、最期まで自分のことをイケメンだと思い込んでいました。(笑)」

想い出話しの中に、その方の様子を教えてもらうことが出来ます。

餓死は、これも又似た状態ですが、食べたくても食べられない何らかの事情があったこと、誰も居ないところで発見されれば、警察にお世話になる流れです。

羸痩と餓死の方は、非常によく似た状態ですが、背景が全く違いますので、ご遺族への関わり方も違うものになります。

死の質は、生の質と等しい。遺された人、関わった人が故人にしっかり心を掛けられるように環境を整え、ご縁をいただいた送り出しの中で気持ちを正して、尊厳を守り、礼を尽くす。

背景は、過去の戻らない時間。でも、その想い出話しや背景は、気持ちがある限り自分の中に遺ります。遺った記憶を、良いと思えることも、そうではないこともひっくるめて、一つ一つを大切に考えられる自分になりたいと、これからも研鑽していきたいと思います。

今日は、羸痩と餓死についての、お話でした。