2015年6月7日

日総研さん、名古屋セミナー

日総研さんは全国7カ所の会場に於いて「エンゼルケア・死化粧とグリーフケア」「新生児・小児におけるエンゼルケアとグリーフケア」の二つのセミナーと、通信講座(課題提出全3回)等でお世話になっております。普段、岩手県に居る時は、私がお一人お一人の通信講座の回答(全ての方の添削)を、させていただいています。

今回も全国からお集まりいただいて、救命病棟(ER)、集中治療室(ICU)、急性期病棟、慢性期病棟等、看護学校の先生、高齢者の施設等、医療・介護職の皆さまに向けて、納棺の現場から様々な情報を、朝の10時から夕方4時までのお時間の中で、お伝え致しました。

セミナー終了後は、全国7カ所の何処の会場でも、多くの皆さまが並び、お一人お一人とお話をさせていただいていますが、

遠くは「片道四時間半を掛けて、このセミナーのためだけに来ました!」と声を掛けていただいたり、「毎回、来ています!」と声を掛けていただいたり、様々に声を掛けていただきました。

超高齢化社会を支える、医療・介護職の皆さまの世界の中にある、新たな課題に向けて、お一人お一人が一生懸命に生きていて、向き合っている、様々な現場の壁や節目に当たりながら、御尽力されている皆さんにお会いした、深く考えさせられる、今回もそういうセミナーでした。

「死」が現実に起きる現場の中では、今すぐ答えの出ない「問い」も多く、何かを求めても、出してみた答えがみんな違うと言う現象が起こるのも、死の現場の特徴なのかもしれません。

私たちにとっては、限られた与られた時間でも、目の前のご遺族にとっては長い人生の「一時」なのですが、「死」が関わるから一生心に遺る時間でもある訳です。ですから、どのように現場を進めて、必要であれば誰にどのように引き継ぎをさせていただくかも、一件一件の現場の課題です。

今回も死後の変化を現場からお伝えし、皆さんと一緒に考えた時間もありましたが、「死後の変化」と言えば、遺族に対しての心の援助を行うときにも欠かせません。

急死の現場で、emergencyで声を掛けていただいた、棺の蓋を閉める前の、お別れの時間のことです。

成人した娘さんたちは、涙を流していました。奥さまが、私に耳打ちをします。

奥さま「二回浮気されたから、浮気された数の分、二回旦那を叩いて良いか。でも、タンコブが出来たり、あざになるかも。」
私「(なんと、どの位の強さで叩くおつもりか‼︎よほど我慢されてたんだろうな)亡くなられた方は、叩いたくらいではあざなどは出来ませんので、ご夫婦のお別れを、ご存分にどうぞ。」

と声をお掛けすると、旦那さまの頬に
「ベシーン!」
「ベシーン!」

「ベシーン・・・。」
そんなに力強くは感じませんでしたが、二回とおっしゃっていた回数が、3回になっていました。娘さんたちは驚いていましたが、「ま、お父さんも悪い」との結論で、棺の蓋を閉めました。

「ありがとう」を一回だけとおっしゃって、二回、三回になることもあり、「ごめんね」も然り、二回、三回になることも多々あります。ここで大切なことは、二回とおっしゃっていた回数が3回になったこと。3回目の行動に、深い意味を持ち合わせます。帰り際、奥さまが教えてくれました。

奥さま「3回目は生き返ってほしいと、もしかしたら目を覚ましてくれるんじゃないかと、そう思ったの。」
私「目を覚まされたら、どうしましたか?」
奥さま「そりゃ、4回目のバシーンでしょ。」

そこでやっとゼロになるのか、ならないのか、これが答えの無い問いです。涙をいっぱいためながら、微笑む奥さまの笑顔が忘れられません。家族を無くすということは、大黒柱を失うかもしれないし、毎日支えてくれた人を急に失うかもしれないし、生活環境がまるで変わってしまう現実が、「死」の背景にはあります。

「死」の存在を持って過去が宝物に変わる方もいるし、「死」の存在から「生きる」意味を探し始める方もいます。皆さんそれぞれの一歩を踏み出そうとするときの、お別れの時間にご縁をいただいている責任を、私も毎回感じながら、私も誰かに生かしていただいていることを、日々感じていました。

セミナーにお越しいただいた、皆さまの益々のご活躍を御祈念申し上げます。ありがとうございました。