2015年4月9日

ビビリ

数日前の雨の降る暗〜い夕方、みんな現場に向かって出掛け、一人で事務所でたまった仕事を黙々としながら、留守番をしていました。

「なんか、暗いなぁ〜」

けっこうなビビリの私は、小さな音が鳴るたびに「何で、今、家鳴り〜?」「何で、雨の音強い〜?」とか独り言を言いながら、事務所の中をバタバタと走り回っていました。

「ちょっと、怖い気がするなぁ〜。誰か、遊びに来てくれないかなぁ〜・・・。」

そんな時に思い出したのが、いのちの授業での質疑応答、子どもさんたちからの質問で、本当に多い質問。

「笹原さんはぁ〜、幽霊とか怖いですかぁ〜??」

何故、今、そんなことを思い出してしまったのか(´・Д・)」・・・。それは、ちょっとビビってるからだな。と、自問自答の時間・・・。幽霊は、多分怖くないけど、どんな形相で出てきても、復元納棺師だから「治しましょうかね?」とか聞いて、治しちゃうと思うけど、なんて言うか、同時に起こると怖いのが「効果音」ね。音は、この仕事をしてからずいぶん敏感で、だから、効果音が怖いです。

とか、何で今、答えてるんだ、私・・・・・・。と、やっぱりけっこうビビってる私でした。(笑)

そうこうしている内に、本当に時間に追われてしまい、あっという間に数日経ってしまいました。東京から、取材のために、わざわざお越しになられた編集部の皆さまと吉永みち子さんに、元気をいっぱいいただいたり、

地元行政の方とこれからを打ち合わせさせていただいたり、

遺族訪問で、いま時期は花壇のお手伝いが多かったりして、私自身若くないのを実感。(笑)腰が痛いけれど、とっても癒されて、

通常業務以外のご縁も、たくさんいただいた時間でした。

そう、今日はお釈迦さまのお誕生日。約、2500歳を迎えられたそうです。と、近所のおばちゃんが教えてくれました。

納棺の時間にも、ご遺族が信仰される宗教が特に仏教の場合には、現場に入って直ぐに北や西を確認します。

亡くなられた方は、北枕で安置されていることがほとんどですが、これはお釈迦さまが亡くなられた時に北枕で目を落とされた御姿に、2500年の時を超えて、習っているものです。もっとたくさん、色々な決まりごとが宗派により、あるんです。それは、ご家族がとてもこだわることなので、大切なことですね。

西は、阿弥陀さまが居られる西方浄土を意味します。

と、日本の文化の中では大切にされて来たことが、色々あります。その習わしには、いのちの深い意味が含まれていますので、皆さんのお家の菩提寺で、その時に慌てないようにご教示いただいておくと良いと思いますよ。「菩提寺が分からない!」と現代では慌てる人も多いですから、普段からちゃんと調べて、つながっていてくださいね。仏教も神道も教会も、昔から、ちゃんと一つ一つの意味を持つ、グリーフアは日本でも存在しています。

どん底まで落ちた悲しみの中で、苦しんだからこそ、ゆっくり教えてくれるものが、悲しみの時間の中には、幾つもあります。

悲しみの現場では、その一人一人の「素」の感情、表情が出ます。深い悲しみの中で、想い出をお話しされながら、少しずつ少しずつ笑顔になられていくご遺族の表情に、お会いします。感情の波を幾つも経験しながら、諦めたり、諦めない気持ちを繰り返し、今の御自分と向き合われていますから、「人って、すごいなぁ。亡くなられた御本人が、こうしてご家族と向き合われて過ごされ、大切なことをいっぱい伝えていらっしゃったんだなぁ。」と、深く感じます。

「死」によって迎える体の終わり。でも、関係性は体が無くなっても何も変わりません。死を迎えたからと言って、急に関係性が変わることもありません。

死は、不幸なことでもなんでもなく、どう生きたのか。死はその方の人生そのものですから、とても意味深い存在です。

遺族訪問の時に、独り暮らしのお年寄りが言いました。「一人で死んでたら、可哀想とは言わないで。一人で居る幸せも、あるんだもの。「おじいちゃん(旦那さん)と会えたかな?」って、心配と応援は、してもらいたいけどね。(笑)」

寒い日が続くけど、いつだってご遺族と過ごさせていただく時間の中には、信念とほんわかした、温かさを感じています。