2015年4月29日

子ども夢ハウス、すり傷公園

子ども夢ハウスおおつちの「すり傷公園」、かさ上げの順番が回ってきて、本日から道路になるべく公園の部分の撤去と、残しても良い場所に公園を縮小という形での作業が始まりました。

子どもたちの親御さん、地域の皆さま、ボランティアさんが作業をしてくれていました。子どもたちはと言うと、大人の作業を見ながら、お手伝いをしたり、目一杯走り回って遊んでいたり。大好きなすり傷公園が、これからどうなっていくのか、やっぱり気になっている様子です。でも、大人が居るから安心。そんな様子でも、ありました。

くっそー(藤原代表)が、すり傷公園の作業をゴールデンウイークにした理由は、「子どもたちの見ていない所で公園を無くしたり、変えてしまうことよりも、子どもたちが見ている前で、公園が変わっていくその姿にある悲嘆に、安心出来る大人の存在があることで、一緒に考えていく時間になるのだと思う。」と考えていらしてのことだったと、吉山くんから教えてもらいました。

大人が笑えば、子どもも笑うし、
子どもが笑えば、大人が笑う。

「全部、無くなるわけじゃないもんね!」

大好きな公園の姿が変わることで、悲しいな、と言う気持ちの中にある色んなことから、一つでも、二つでもプラスのことを見付けていく力。東日本大震災で悲しみを経験してきて、子どもは大人の様子を、実はしっかり見て生きているから、自分たちのまわりの大人からも、そういう姿からも学び、力を付けて来たのかもしれません。可愛くて、頼もしい子どもたちです。

今でも津波や、震災初期の話も多く出ます。子どもたちも鮮明に、覚えているものです。それを「遺すこと」を意識する子も出てきているので、それを大切にしていこうね、夢ハウスでは話し合っています。

それにしても、子どもたちの運動量はすごいものです。

鬼ごっこに誘われ、
バレーボールに誘われ、
バトミントンも本気でやって、
そして、又、鬼ごっこ。

「ちょちょっと、待った!」と私。
「待てないよ〜〜!」と子どもたち。
「だって、もう42才だよ!」私。
「そんなの初めて聞いた!28才って言ってたじゃん!」子どもたち。
「あ、そうだった。忘れてた!」私。
「頑張れ〜!28才!」子どもたち。
「(本当は分かってるでしょ!)ゼェゼェゼェ・・・。」私(笑)。

・・・ど、どんとはれ!






2015年4月27日

お知らせです

平素から、格別の御高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

医療、介護職、葬祭業、納棺担当の全国の、たくさんの皆さまからご予約をいただいております、

弊社オリジナルの「参加型死化粧」のDVDの発送ですが、お待ちいただいている皆さまには大変申し訳ありません、少し遅れまして、5月3日頃の発送予定となります。

ご迷惑をお掛け致して申し訳ありません。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

尚、先行予約特典は、発送開始を持ちまして終了させていただきますので、ご了承ください。

いのち新聞

昨日は、いのち新聞の編集会議で集まりました。約、3年続いております。本日は9名の編集会議の参加でした。

復興のこと、津波で亡くした家族のこと、過去・現在・未来への、様々な話になりました。特に今日は、震災初期の頃の話が多く出ました。東日本大震災直後の、沿岸のこと。次の記事は、あの時のことを、記録の一つとして記事にしようと言う話にもなりました。それから夢のこと。様々な夢を見るようになったね等々、話し合いました。

本日特別号として、5枚目の新聞が完成しました。一枚の新聞を完成するのに、なかなか大変な日数を要します。I先生いつも、ありがとうございます!

そして私たちは毎日出る、新聞の凄さを改めて知ったのでした。

数日中に、弊社ホームページのトップページにUPしたいと思います。お楽しみに!

2015年4月25日

第17回 日本在宅医学会もりおか大会

大切な人を看取る幸せ、看取られる幸せと題して、市民公開講座の中で演者の一人としてお話しをさせていただきました。

座長が大会長さんで在宅医の木村先生と、私の父と母の主治医でもある千葉先生にお世話になりました。

演者は5名で、被災地の一つの市でもある釜石市から、穏やかで包容力のあるとっても素敵な寺田先生。そして、私も普段からとてもお世話になりっぱなしの、宣承さん。とてもわかりやすく様々なお話しをしてくださった、訪問看護の看護師さんである、高橋さん。遺族としてのご経験を、力一杯お話ししてくださった土岐さん。そして、私。

15分でお話しをさせていただく難しさを又々、体験させていただいた時間でもありました。もっと勉強しなきゃいけないな。そう反省しながらも、皆さんのお話しを伺いながら私の知らない、皆さんの生きておられる大切な世界を、学ばせていただいた貴重な時間でもありました。椅子が500席の会場は、どこの通路にも、多勢の方の立ち見が出るほど満員以上の方がお越しになられていました。

二日前から、釜石市のO先生から励ましのメールをいただいていて、緊張を少しずつ解していただいていたお陰もあり、「精一杯」に対して手を抜くことはありませんでした。O先生、ありがとうございました!m(__)m

市民公開講座終了後、帰ろうとして歩いていたら、近付いて来られる女性が・・・。なんと、当時すごく仲良くしていた中学一年から三年までの時の同級生で、ずっと会いたいと思っていた人と、27年ぶりの感動の再会。大学で看護学部を卒業後、医療の道に進み現在は主婦で、しかも札幌の時の幼馴染みだけど、今は旦那さんの転勤で岩手県盛岡市にいるという!二人で抱き合って号泣した、とても嬉しい時間でした。彼女のお母様も看護師で、看護学校の先生でした。彼女は、お母様の後ろ姿を見て、看護の道を志しました。彼女のお母様が癌で亡くなったのが42歳。私たちは、お母様が亡くなった時と同じ歳の42歳で再会しました。もしかしたら、彼女のお母様がつなげてくれたのかな?と、思った感動の瞬間でした。

弊社では現在、21日から10日間の、マンツーマンセミナー講習中です。四国、松山市からようこそ、お出でくださいました。汗だくになりながら、頑張っておられます。人は悩んでいるからこそ、答えを探す道に居るから、グン!と伸びるのかもしれません。

現在は、非常に現場の件数も多くて、私も毎日現場に走りながら、車中から桜を眺めていました。桜の花は終わり頃。だけど八重桜、枝垂れ桜が綺麗に咲いています。「桜を見に行く約束をね、してたんだよ。」ご遺族が教えてくださる、故人と交わした約束のお話し。毎年、桜の時期には、桜の時期に伺った納棺の時間を思い出しながら、私も想い出と共に生かしていただいていました。

2015年4月19日

日総研さん、福岡県セミナー

九州、福岡県にお邪魔していました。今回は、「新生児・小児におけるエンゼルケアとグリーフケア」のセミナーにおいて、お別れの現場から様々にお伝えしました。

会場には九州を中心に、他の県からも大学病院、県立病院、個人病院の助産師・看護師の皆さんが、NICU(赤ちゃんの集中治療室)、ER(救命救急)、小児病棟から参加いただきました。

実践に向けての技術を中心に、その技術が遺族の心情に、どのように働きかけ、お一人お一人のお別れのお手伝いにつながるのか、10時〜16時までの時間の中で、お話しをさせていただきました。

あまり知られていませんが、一般的に赤ちゃんや子どものお別れの時、葬儀社さんに依頼することは、実は非常に稀です。主に、お父さんやおじいちゃんが手続きをしていて、お坊さんや牧師さん等、宗教者の方が傍で寄り添ってくれているのが、赤ちゃんや子どものお別れの通例です。だから、病院を出発する時の、最後の手当てが小さな体を守り、子と親の火葬までの限られた時間の中でのお別れの時間を、支えてくれます。

「きょうだいを亡くした子ども」の項目が、セミナーの中にあります。どのようなお話しの内容かと言うと、セミナーの中でお話しをさせていただいたお話しを一つ、ここでご紹介します。

「赤ちゃんや子どものお別れでは、お母さんが特に、本人の傍から離れません。抱いて、歩いていることもよくあることです。お父さんは、お母さんの支えになってくれていますが、時に一人部屋にこもり考え込む姿を拝見する所からのスタートです。お母さんは、出発するまで子どもを棺に安置することはほぼなく、安置していたとしても、棺の蓋を閉めることはありません。当然の心情ですから、それでも大丈夫なように子どもさんの体を、技術で守ります。私の技術は、亡くなった人たちが育ててくれたもので、家族のお別れのためにあると思っています。

ある現場で出棺の日、きょうだいを亡くした高校生のお姉さんが私の傍に来て、言いました。「学校もあって、なかなかお見舞いに行けませんでした。でも、心配で心配で仕方ない毎日でした。不安になったその度に、鶴を折り続けていたんです。」自宅納棺だったので、「今、その鶴を持ってこれる?」と聞くと、嬉しそうに「はい!」と言って彼女は走り出しました。持ってきてくれた鶴が入った袋がとても大きくて、「見せてもらっても良い?」と聞くと「はい!」目に涙をいっぱいためた、彼女の姿でした。

小さな折り紙で、きょうだいを思い、一羽一羽丁寧に折ってくれた沢山の折り鶴。聞くと、三百羽を超えていると教えてくれました。私はそれを見たとき、「この子はこの子の世界の中で、必死で今日のこの日まで過ごしていたんだな」と思ったとき、彼女の気持ちに触れた気がして、自分の胸からこみ上げる涙を必死で止めていました。

「鶴、入れてくれる?」と彼女にお願いをすると、傍にいた大人の人たちも、自然な流れで手伝ってくれました。

彼女が私に耳打ちをしました。「一羽だけ、自分で持ちたいです。ずっと、つながっていられる気がするので。」子どもの言葉は真っ直ぐで、又、私は涙をグッとこらえていました。「もちろん。」そう答えるのが、精一杯でした。

悲しみを経験したとき、きょうだいである子どもたちは、子どもの世界の中で、大人の空気を読みながら、耐えて偲んで、過ごしているものです。子どもは、自分の気持ちの中にある大切なこととして親を支えようとしていますし、でも自分の悲しみの気持ちとも共に、過ごしています。

私たちは、他人であるから出来ることが実は、あるものです。その環境を見守り、見極め一人一人の悲しみに気が付き、その方法を提案していくこと。選択するのは本人で、叶えられるように、私たちは手伝うことができるのだと思います。」

普段から、お一人お一人の嘆きと共に過ごさせていただいています。一人一人の大切な思い出があること、それを教えていただける現場の中で、また、自分も生かしてもらっていると感じています。

新生児・小児のエンゼルケアとグリーフケアの本が、本日より日総研出版より発売されました。「子どもケア」の専門誌で6回連載させていただいた内容に、全国を回らせていただいているセミナーの内容を大幅に追加をして、一冊の本になっています。お申し込みは、日総研さん、又はお近くの書店さんでお願いします。

2015年4月13日

子ども夢ハウスおおつち2歳!

4月11日は、子ども夢ハウスおおつちの2歳のお誕生日でした。皆さんの温かい御支援のおかげ様で、三年目に入ります。ありがとうございます。

私の方はここの所、emergency(緊急出動)の現場も多くあり、お別れの時間にご縁をいただいていました。悲しみの現場の中で想い出話をされながら、フッと微笑まれるご遺族の表情に、私も支えていただいています。

同時に県外からのお客様、被災者の皆さん、ご遺族の皆さんと一緒に様々なお話をしながら過ごさせていただく時間も、とても大切にさせていただいていました。悲しみを糧にして生きていること、私の知らない色んな立ち位置や世界があること、色々と教えていただきました。

4月11日の子ども夢ハウスおおつちの2歳のお誕生日の日は、夢ハウスの中で、みんなで「夢ハウス、おめでとう〜〜!」って、happybirthdayを歌い、お祝いしました。

11日と言うこともあり、月命日でもありました。月命日には毎月鳴っていた、町のサイレンこそ鳴らなくなったものの、亡き人と見付からない家族を想いながら、みんなで想い出話をしていました。大切な家族が亡くなっても、見付からなくても、親子、兄弟、祖父母、友人との「関係性」は変わりませんから、そういう事を大事にして過ごしています。

何より、警察の皆さんの捜索活動が今も続けていただいていますから、家族の帰りを待っている人たちは、まだまだ諦めてはいません。

「早く、帰っておいでよ〜〜!」

子どもたちは、海に向かって叫びながら、未だ帰らぬ家族の帰りを待っています。「行方不明者」の家族はみんな、このような心境で毎日を過ごしています。

happybirthdayのお誕生日会後は、希望のある子どもたちを町の体育館に送り迎えしたりして、地元の方に「夢ハウスでしょー?良いよ〜、大丈夫だよ、見ててあげるからね〜〜」なんて、体育館に入ると素敵なお心遣いをいただいて、町の皆さんに男の子チームの子どもたちをお願いして、女の子チームの所へ戻り、とか色々動いているうちに結局、この日は土曜日と言うこともあり、朝までみんなで色々話し合って(笑)、「オールだ!オールだ!」なんて、盛り上がりました。(笑)みんな、寝不足だっただろうなぁ(笑)

そして私は、その後はそのままemergencyの現場へ直行したのでした。

子ども夢ハウスおおつち、皆さまのおかげ様で三年目に入ります。これからも、変わらぬご支援をよろしくお願い致します。

弊社のホームページのトップページに、子ども夢ハウスおおつちのブログを御紹介しています。忙しい中頑張ってブログ更新をしてくれている夢ハウスの皆んなに、感謝の気持ちを込めて!ありがとう!

あ、よく人から「笹原さんは、夢ハウスで、どのような役割ですか?」と聞かれることが多くあります。お答えしておきます。学校で言えば、用務員のお姉さんです。(決しておばさんではない)どんと晴れ!

2015年4月9日

九相図

以下、吉永みち子さんとお話しをさせていただいた一部です。

「叔母が亡くなった時、口と鼻から体液と血液がいっぱい出て来て、すごい形相をしていたのね。みんなで、毒殺じゃないか、事件じゃないかって、警察に電話した方が良いんじゃないかって話にもなったのね。」

お話から予測される死後変化などをお伝えしました。死後変化が起きると、私の現場でも吉永みち子さんがお話しをしてくださったような、ご遺族の皆さんが同じ心情になる訳です。動揺し、原因を知りたいのは、大切な家族に起こっているから、誰もが当然起こる心情です。吉永みち子さんがお話しして下さった内容から、そうかぁ〜〜と、昔の怨霊話をふっと考えていました。

死後変化は時に、その人のおもかげを無くしてしまうことがあります。腐敗により変化をすると、「人」として見えないこともあります。なので、戻す必要がある訳です。亡くなられた御本人の尊厳と、遺されたご家族のために。

昔は、そのような死後変化を見た人たちのトラウマになるような体験の気持ちが、「怨霊」話につながったかも、死後変化が関係していることもあるのかもしれないな・・・。なんて、考えていました。

九相図の話も、深くお話しをしました。昔から九相図と言う、人が死んでから土に帰るまでを、字の読めない人のために絵に記した掛け軸があるお寺があります。

これがすごい。何がすごいかって、本当の記録だからです。絶対に見て、描いたんだろうなと思わせるほどリアルです。昔の人は、ここまで描いてしまうんだなと思ってしまいました。が、お坊さんがお話ししてくれるので、大丈夫なんですね〜。

昔はその掛け軸を使い、お寺で死生観を学んだのだそうです。

骨が土に帰るまでを、確認したことはありませんが、人が死を迎えて骨になるまでの過程は、ご縁をいただく現場で知りました。

九相図を描いた絵師さんは、きっとお寺に納めていただけるから、拝んでもらえるから、こんなにリアルに描けたのだと思います。私も、私なりに描いてみようかな、と、全く頼まれてないけど、宣承さんのお寺に納めさせていただこうかなと、勝手に考えていた今日でした。m(__)m





ビビリ

数日前の雨の降る暗〜い夕方、みんな現場に向かって出掛け、一人で事務所でたまった仕事を黙々としながら、留守番をしていました。

「なんか、暗いなぁ〜」

けっこうなビビリの私は、小さな音が鳴るたびに「何で、今、家鳴り〜?」「何で、雨の音強い〜?」とか独り言を言いながら、事務所の中をバタバタと走り回っていました。

「ちょっと、怖い気がするなぁ〜。誰か、遊びに来てくれないかなぁ〜・・・。」

そんな時に思い出したのが、いのちの授業での質疑応答、子どもさんたちからの質問で、本当に多い質問。

「笹原さんはぁ〜、幽霊とか怖いですかぁ〜??」

何故、今、そんなことを思い出してしまったのか(´・Д・)」・・・。それは、ちょっとビビってるからだな。と、自問自答の時間・・・。幽霊は、多分怖くないけど、どんな形相で出てきても、復元納棺師だから「治しましょうかね?」とか聞いて、治しちゃうと思うけど、なんて言うか、同時に起こると怖いのが「効果音」ね。音は、この仕事をしてからずいぶん敏感で、だから、効果音が怖いです。

とか、何で今、答えてるんだ、私・・・・・・。と、やっぱりけっこうビビってる私でした。(笑)

そうこうしている内に、本当に時間に追われてしまい、あっという間に数日経ってしまいました。東京から、取材のために、わざわざお越しになられた編集部の皆さまと吉永みち子さんに、元気をいっぱいいただいたり、

地元行政の方とこれからを打ち合わせさせていただいたり、

遺族訪問で、いま時期は花壇のお手伝いが多かったりして、私自身若くないのを実感。(笑)腰が痛いけれど、とっても癒されて、

通常業務以外のご縁も、たくさんいただいた時間でした。

そう、今日はお釈迦さまのお誕生日。約、2500歳を迎えられたそうです。と、近所のおばちゃんが教えてくれました。

納棺の時間にも、ご遺族が信仰される宗教が特に仏教の場合には、現場に入って直ぐに北や西を確認します。

亡くなられた方は、北枕で安置されていることがほとんどですが、これはお釈迦さまが亡くなられた時に北枕で目を落とされた御姿に、2500年の時を超えて、習っているものです。もっとたくさん、色々な決まりごとが宗派により、あるんです。それは、ご家族がとてもこだわることなので、大切なことですね。

西は、阿弥陀さまが居られる西方浄土を意味します。

と、日本の文化の中では大切にされて来たことが、色々あります。その習わしには、いのちの深い意味が含まれていますので、皆さんのお家の菩提寺で、その時に慌てないようにご教示いただいておくと良いと思いますよ。「菩提寺が分からない!」と現代では慌てる人も多いですから、普段からちゃんと調べて、つながっていてくださいね。仏教も神道も教会も、昔から、ちゃんと一つ一つの意味を持つ、グリーフアは日本でも存在しています。

どん底まで落ちた悲しみの中で、苦しんだからこそ、ゆっくり教えてくれるものが、悲しみの時間の中には、幾つもあります。

悲しみの現場では、その一人一人の「素」の感情、表情が出ます。深い悲しみの中で、想い出をお話しされながら、少しずつ少しずつ笑顔になられていくご遺族の表情に、お会いします。感情の波を幾つも経験しながら、諦めたり、諦めない気持ちを繰り返し、今の御自分と向き合われていますから、「人って、すごいなぁ。亡くなられた御本人が、こうしてご家族と向き合われて過ごされ、大切なことをいっぱい伝えていらっしゃったんだなぁ。」と、深く感じます。

「死」によって迎える体の終わり。でも、関係性は体が無くなっても何も変わりません。死を迎えたからと言って、急に関係性が変わることもありません。

死は、不幸なことでもなんでもなく、どう生きたのか。死はその方の人生そのものですから、とても意味深い存在です。

遺族訪問の時に、独り暮らしのお年寄りが言いました。「一人で死んでたら、可哀想とは言わないで。一人で居る幸せも、あるんだもの。「おじいちゃん(旦那さん)と会えたかな?」って、心配と応援は、してもらいたいけどね。(笑)」

寒い日が続くけど、いつだってご遺族と過ごさせていただく時間の中には、信念とほんわかした、温かさを感じています。


2015年4月5日

参加型死化粧教材DVD、発売

弊社の教材DVDを、昨年の10月から撮影をスタート、最終編集も昨日終わり、約半年掛けてリニューアルしました。

今月下旬の発売になりますが、先行予約特典として、私の現場はもちろんですが弊社の復元納棺師のみんなも現場で使用している、弊社オリジナルの特注品の化粧筆一本をお付けします。

参加型死化粧は、ご遺族に参加を強制するものではなく、故人の表情を生前に近く戻し、ご家族が安心出来る状態になってから、限られた約1時間と言う納棺の時間の中の、着付けとお棺への安置を除いた約20分の身だしなみの時間ではありますが、その中でゆっくりとお話しを伺い、希望を形に変え、私たちがご家族のお仲間に入れていただいて、参加をさせていただくと言う主旨で、お別れのお手伝いをさせていただきます。

実際の納棺現場で、ご遺族の要望の多い項目をピックアップしています。内容の一例として生前に近く表情を戻す技術、黄疸の復元、傷や痣の復元、ご遺族が求める死化粧などの様々な種類を含めた、約60分の教材DVDです。

火葬まで、著しく死後変化を起こさないように、亡くなられた方のお体を守るのも、私たちの使命だと思っています。

多くの皆さまからご要望いただいて、昨年からずっとお待ちいただいた方もたくさんいらして、お待たせしてしまって、申し訳ありませんでした。現在のところ、数に限りがありますので、お早めにお申し込みください。お届けには住所、電話番号、お名前等が必要です。クロネコヤマトのコレクトでお届けします。

詳しくは、弊社ホームページのトップページをご覧ください。


新生児・小児のエンゼルケアとグリーフケアを出版します

お知らせです。今月の予定で日総研さんから出版される、「新生児・小児のエンゼルケアとグリーフケア」

昨年、「子どもケア」の専門誌で6回の連載をさせていただいたものを、更に追加して、赤ちゃん・子どもさんのいのちに携わられるお仕事(特に助産師・小児の医療)に従事されている皆さまへ向けて、昨年12月から本格的に編集作業に入り、4ヶ月丸々掛かって最終編集を先日終えました。

連載中は、寄稿させていただいたページが読みたいと、年間購読のお申し込みも非常に多かったと教えていただきました。

私も納棺の会社を立ち上げてから、たくさんの赤ちゃん・子どもたちとご縁をいただきました。

急死の場合には、ほとんどの現場で、親は大きな声で泣き叫び、子どもから離れようとせず、泣き続けられていて目は真っ赤に腫れています。現場に到着するとお母さんからは、「出て行け!」や、安置されているお部屋に入れてもらえない所からのスタートです。

親の心情としては、当然です。私が伺えば、「死」が本当のことになってしまいますから、最初は嫌われて当然だと思っています。

私も子どもを亡くした時は、気が付いたら17㎏も体重が減っていました。亡くした後から、色んなことを考え込み、悲しみは決してゼロにはなりませんが、時間が掛かると言うよりは、理解してくれる人との出逢いの度に、過去のかけがえのない時間が愛おしくなっていったように思います。だからと言って、目の前の親御さんが私と同じ思いかと言うと、そうではありません。みんなそれぞれの感情の表現がある、一人として同じ人はいない、それに対してどのくらいまで感じることが出来るか、それが現場の怖さと深さだと思います。

納棺の現場でご縁をいただいた、赤ちゃん・子どもさんとのお別れの時間の中で、実際に行っている内容を記しています。この世に生を受けて、お腹の中で、生まれて直ぐに、少しの時間だったのかもしれないけれど、精一杯生きた、小さないのちです。その精一杯の小さないのちの現場で、赤ちゃん・子どもさんたちを支えてくれている専門職の方たちがいます。専門職の方の立場からすると、家族が泣き叫ぶ中でお見送りをされているので、その後のお別れの時間にご縁をいただいた現場から、一つ一つ大切にしてきたことを丁寧に、本の中でお伝えしています。

過去にご縁をいただいた、赤ちゃん・子どもさんのお別れの現場。あの時のご縁のスタートは、親御さんからの言葉は「帰れ!」などだったけれど、少し時間が経つと不思議と皆さんが連絡をくださいます。色んなことをお話ししながら、現在もご縁を継続している方がほとんどです。かけがえのない亡き子どもを想い続ける、素敵な親御さんばかりです。

技術・安置例のDVDも付いています。お申し込みは、日総研さん又は、書店さんにてお買い求めください。詳しくは、弊社のホームページのトップページをご覧ください。