2015年12月14日

冥土の土産

「これで安心して死ねるよ。」と言う意味で、特にお年寄りが多く使う言葉です。

「あぁ、良い冥土の土産が出来た。」

自分にとって、嬉しいことがあるときによく聞かせてもらう言葉です。「冥土」の言葉が出ると言うことは、人には必ず「死」が訪れることへの意識が正確にあり、それが現実に訪れるであろうことを知っている人の言葉です。そういう言葉を聞いたとき、冥土に興味津々の私は聞きます。

「冥土って、どんなところ?」

まるで行ったことがあるかのようにお話ししてくれるお年寄りのノリの良さ。子どもたちも夢中で聞きます。(私も夢中)

冥土があるのか、無いのかということよりも、お年寄りとのコミュニケーションの中で、知恵をもらったり、死生観を教わったり、ワクワクするような話し方を教わったり、そういう時間が大切なんだと思います。もうすぐクリスマスという事で、先日の納棺の時間も「冥土」の話が出たので、聞いてみました。

「サンタクロースは、冥土にいるの?」

するとお年寄りが、
「冥土の門番だ!」

と答えました。みんな大爆笑でしたが、お年寄りは「門番」→「地獄」→「極楽」→「今を生きる」の話へと続き、踏ん張って、噛み締めて、楽しんで(楽しいの意味を間違わず)、生きていることを意識して生きろ!と、みんなの目はキラキラ!

「おじいちゃん、よく知ってるね!」

現場の子どもたちが言いました。

「住職(お坊さん)の話し、全部パクった!」

で、またみんな大爆笑。昔よくあったこういう光景は、やっぱり時代が移り変わっても遺したいなぁと思った、現場でした。

そのおじいさん曰く、

「子どもたちにとっては、サンタクロースの世界が夢と希望だろう?年寄りにとっては、極楽浄土が夢と希望なんだよぉ。年代によって呼び方が違うだけで、同じ世界のことを言ってるんじゃないの?」

「だから冥土の土産は、サンタクロースへの土産と一緒だからな!(本当っすか!?)」

そして、こんな会話が続きました。

「おじいちゃんは死んだら、サンタクロースになるの?」

「あぁ、そうだよ。だから、いっぱいみんなが喜ぶことをして、一人一人がきっちりと、しっかり生きてな、冥土の土産持ってこい!」

「はーい!」

何でしょう、この説得力のある言葉は!いくつになっても冒険心とそれを表現する方法、人の気持ちをワクワクさせる力を持っていることで、こんなに人が集い、笑顔になることを学んだ私でした。(´・Д・)」☆彡