ここのところ、ずーっと現場に走っておりました。11月〜3月頃までの寒い時期は毎年、納棺の現場が立て込みますので、できるだけ現場に向かえるように講演は承れない状況です。すみません。4月からは又、講演に伺うスケジュールとなっておりました。
先日の納棺で、おじいちゃんを亡くされたお孫さんと現場でお話ししていました。想い出がたくさんあるけれどと言いながら、その想い出深い一つを教えてくれました。
「買い物に行くと言っていたおじいちゃんに、「単語帳を買ってきて」とお願いしました。買い物から帰って来たおじいちゃんが笑顔で「ほれっ!」と得意気に渡してくれたのは単語帳ではなく、確かに似ていると言えば似ているけれど、単語帳とサイズも同じ、穴の空いているところも同じ、ただ針金でつながっている、それは荷造り用の値札でした。本当のことを言って傷付けるのも嫌だし、仕方ないのでそのまま使いました。おじいちゃんは嬉しそうでした。本当のことを言わなくて、良かったと思います。」
その時だけ満足したいのであれば言えばいいと思うけど、ありがとうの気持ちが優先したのだろうし、友だちなら伝えてあげたほうが良いかもしれないけれど、おじいちゃんの生活の中にはあまり単語帳は関係ないし、私はそれで良かったのではないかと思いました。正解を言わずに、ずっと良い関係が続けられるのなら、そういう選択もありだと思います。
「ステキなおじいちゃんですね。それを使ったあなたも、えらいっ!」そう会話が弾みました。
今年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願い致します。来年も、皆さまにとって良い年でありますように。