2016年4月13日

CITIZENグループ新入社員研修会

2011年度のシチズンオブザイヤーで賞をいただいたご縁で、今回の新入社員研修会の中での一コマを、東京の会場で200名弱の皆さんに向けて、担当、お話をしをさせていただきました。CITIZENグループとしては社員研修会の中で受賞者から話を聞くと言う試みは、今回が初めてとのことでした。

講演の中では、新入社員の皆さんに老婆心ながら3つのお話の中の1つとして「壁に当たるとき」のお話しもさせていただきました。

「自分のことを振り返り感じることは、後悔がいつも背中を押してくれていた。と言うことでした。

東日本大震災の時も、普段の現場もそうだけれど、何かに挑もうとした時ほど、壁の前に立っている気がします。出来ないことを見付けてしまえば、大きな悲しみが自分を襲い潰れそうになります。けれど、その状況下の中でも苦しみの中から出来ることを1つでも見付けて、やってみなければ分からないじゃないかと自分を戒め、自分で自分の背中を押して進んでみることで、さっきまで出来ないと思っていたことに対して、違う視点から考えられるようになったり、諦めていたことだったのに、色んな道を見つけることが出来たりするものかもしれません。そしてその時に初めて、大切なことと、守りたいことに出会っています。そのために、日々の努力が必要なのだと思います。

悔しいと思う後悔は、きっと自分と向き合った証拠だったり、逃げたい、目を背けたいことに対して「見た」結果なのだと思います。向き合ったきっかけがあったときには、そこには何かしらのご縁が発生していたはず。何かに心動かされた現実があり、そういう自分が居たはず。

方向を間違えば、誰かのせいにしたり、妬みや恨みに変わりやすい。それも後悔の特徴。だから、自分に厳しく判断できる人になりたいと、私はいつも思っています。

私の場合は亡くなられた方に向かう気持ちの中に、どのように死を迎えたのかは誰もが通る道だけれど、その先にある「どう生きたのか」を見てもらえる何かしらのお手伝いが出来たらと、縁の下の力持ちに、影として徹していく、そんな気持ちなのかもしれません。

壁の前に居ると感じたとき、一回りも二回りも成長出来ている自分がその先に居るのかもしれないと、思います。例えばそうなれたとした時、必ず誰かの力が働いているはずだから、そういうときに、感謝を忘れないこと。

そして、誰かの人生の歴史の中に、時を刻みながら自分もそこに居させてもらえることを意識しています。」

皆さんが身を乗り出して聞き入ってくれたこと、大切な誰かを心に想い、聞いてくれていることも、私にはよく見えていました。

私観ではあるけれど、学生の時は、順位や勝ち負けで生きていたかもしれない。それは、大人へのステップの1つで、社会に出ればミッションを達成しなければならなくなります。勝ち負けの結果に向かって歩んだプロセスが、ミッションを達成するための自分への戒めに必要になると思います。その自分に向き合ったプロセスが、きっと責任感と言う財産になっていると思います。

講演を終えて会場を後にしようとしたとき、
「悲しみの中に想い出があるから、悲しいんだよね。失恋したときと、一緒なんだね!」と同僚と感想を語り合う会話が聞こえてきました。何があった⁉︎のか、少し心配になりつつも、きちんと感じ取ってもらえたことに嬉しく感じました。

私のお話しした内容は「悲しみ」と「嘆き」についてです。悲嘆は、死に関わることに対してだけ起こることではなく、普段の生活の中にもたくさんの悲嘆が存在しています。

大切な物を壊したとき。大切な人とのお別れ。大切な物を無くしたとき。それから、聞こえてきた会話の中にあった失恋もそう。生活の中にある悲嘆と、普段からどう向き合い、関わっているかは、とても大切な積み重ねになると思います。皆さんのご活躍を、お祈り申し上げます。

話しは変わって、講演の前に見学をさせていただいたミュージアムで、職人さん方が使っている道具に魅了されてしまいました。職人さん一人一人が、手作りでヤスリをかけたりして工具の1つ1つを自分流に仕上げて、技術に変えていく。㎜、microの世界の技術、聞いたことのない単位や、見たことのない技術に、とても刺激を受けました。自分の技術を振り返り、展示されている道具の前で考え込む時間がありました。「上には上がいるんだなぁ」有難いことに業種は違っても、普段のご縁の中でそれはいつも感じることです。

CITIZEN幹部の皆さまに、今回も大変お世話になりました。ありがとうございました。




2011年度のシチズンオブザイヤーの授賞式の日、3分間のスピーチだったはずなのに、壇上に上がり、マイクの前に立ったとき、様々な記憶が想い出されていました。東日本大震災でご縁をいただいた皆さんのこと。安置所の中で一生懸命ご遺体に関わり、守ってくれた警察の皆さんのこと。捜索してくださった皆さんのこと。亡くなられたたくさんの人たちのこと。被災者ご遺族の皆さんのこと。皆さんとの記憶が、今の自分を支えてくれていること。止めようと思えば思うほど、涙が止まりませんでした。そして、声を発することも出来ないままなんと、3分以上経過してしまっていました。

死の世界に光を当ててもらえたことに対して、亡くなられたたくさんの人たちの人生に、光を当ててもらえたことに、壇上で感謝をしていました。

結局、10分以上になってしまったスピーチのため、祝賀会のその後のスケジュールが詰まってしまい、大変ご迷惑をおかけしてしまいました。そんな想い出のある、授賞式でした。その時にいただいた時計(citizenエクシード)をずっと今でも、授賞式から付けさせていただいています。

決められたスピーチの時間は、やっぱり守った方が良いと学んだ授賞式でした(>_<)ありがとうございました。