2015年2月1日

子ども夢ハウスおおつち

30日は夢ハウスへ行きました。

大槌町は地盤沈下した道路や必要な場所のかさ上げ後、今は家や建物を建てるために町中のかさ上げが行われていて、工事車両も頻繁に走っていました。あの時の光景から、ずいぶん変わったと思います。

月日が経つとは、こういうことなのかなと、みんなで話すことも多くなりました。現在・過去・未来を意識してみれば、気持ちは全て未来に向けられているわけではなく、だからと言って過去に全てがある訳でもなく、その時、その時で、配分しているパーセンテージも違うものです。

例えば今日、何かちょっと良いことがあったかなと思えることがあれば、気持ちがポジティブだから、大幅に未来に向かえる。人それぞれだけど例えば、

現在に60%、
過去に0%、
未来に40%

でも、ご遺族は違う。良いことがあれば、良いことを大事な家族と共有したいから、

現在に20%
過去に60%
しっかり偲んで勇気が出たら、
未来に20%を全力でと、なる。

良いことだけでなく、何事も、亡き家族と共にと考えるもんです。それが、ご遺族の普通なんです。人それぞれ、その人の人生の中の、大切なことがあります。

夢ハウスで台所に居たら、低学年の子たちが帰って来ました。

「ただいまー!」
「あ!笹原さん〜〜!」
「おかえり〜〜」
「宿題は?」
「先に、ねりけし作る!」
「ほぉー」
「笹原さんにあげるから、ちょっと待ってて。」(笹原さん悪い気しない)

「あのさ、3月11日は夢ハウスやってるでしょ?」
「うん、やってるよ。どうしたの?」
「くっそー(藤原代表)いるでしょ?」
「くっそー、いるよ。」
「あー、良かった!」ねりけしを黙々と作る彼ら。安心したのか、ちょっとニヤリ。そこへ、吉山くん台所に登場!慌てて宿題をしているフリをする、彼ら(笑)素晴らしい!演技派!吉山くんも、すっかりお父さん的存在だなぁ〜〜。その後、やっとやってくれた宿題の「お家の人」の欄にサインして(笑)

そこへ続々と帰って来て、3月11日の話が続きます。(年を越してから、私の所にも、3月11日の話は多くなっています。)

高学年男子曰く、
「笹原さんあのさぁ、今日さぁ、みんなで学校でさぁ、津波で死んだ家族と、どうしたら会えるかって、話をしたんだよ。でさ、みんながコックリさんが良いとか言うから、みんなにいったよ。

笹原さんがさ、コックリさんは絶対にやらない方が良いって言ってた。青森県にコックリ信仰って言うのがあって、修行したおばあちゃんたちが、死んだ人と話をする方法を真似て(東北ではイタコさんなども昔から居る)、コックリさんの遊びがあるから、遊びでやるもんじゃないって。おばあちゃんたちと僕たちが違うのは、おばあちゃんたちは、呼んでも帰してあげることが出来るけど、遊びでやる人は、呼んでも帰すことが出来ないから、死んだ人が怒っても当たり前。って笹原さんが言ってた。

って言ったら、みんなでやっぱりコックリさんは止めようってことになったんだよ。でね、友だちの一人が、炎に死んだ家族が見えるって、言ってる人が居たんだよ。笹原さん、見えると思う?」
「どうかなぁ〜。でも、火はさぁ、子どもだけだと危ないからね、大人の居る所で試してごらんね。目的が変わったら、ただの火遊びになるから、オネショするから気を付けなさいね。」
「うん、分かった!今、やってみていい?笹原さん、大人でしょ?」
「うん、そうね、とりあえず大人。」

ライターから出る火を、みんなで角度を変えながら見ても、全然火の中に誰も現れず・・・

そのうち、ライターを持ったまま歩き出す子どもたち・・・

「ウオッホン(私の咳払い)」
「あ!これ、オネショタレちゃう方?」よく気が付いた!
「その通り!」
「じゃ、今日ちゃんとオシッコして寝るから!」
「その方がいいね。」

お昼過ぎから沿岸部も雪が降ってきて、雪遊びがしたいと外へ向かう子どもたち。

「子どもは風の子なんだよ!すり傷公園に行ってきます〜!」

元気な声が響きました。吉山くん曰く、
「かさ上げが本格的に進み始めました。すり傷公園もかさ上げ地域の指定を受けています。すり傷公園の一部から、取り壊さなければなりません。」「かさ上げは、町の復興のために大切なことです。覚悟していました。ただ、子どもたちが大勢遊びに来ている今、集える場所でもあるので、公園を移転しても残せたらと検討しています。」と話してくれました。

これから、どんどん町の風景が変わっていくことが予測されます。まだ、学校も仮設のプレハブです。町が壊滅したところから、子どもたちは見ていますから、町の復興は一見未来に向かうポジティブな感じではあるとは思いますが、生活の中に起こる変化、その度に起こる悲嘆は、藤原代表が言う「必要な悲嘆」です。未来を思えば、復興は大事。悩んで決断することを求められる今、地域で出来ることを日々、子どもたちの成長に合わせ、夢ハウスでも地域の皆さんと共に、話し合いを大切にしています。

日頃からの皆さんの御支援、ご寄附に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。