でも不思議なことですが、お盆は納棺に伺う件数が本当に多くなります。お盆中の納棺は、「ご先祖様が帰って来ている時期だから、一人じゃないね!」等、現場では今の状況の中からポジティブに考えられることを見付け(人には、そういう底力が備わっています)皆さまの会話を伺いながら毎日、納棺の現場と遺族訪問(年令問わず、現在気持ちが一人ぼっちの方を、受け入れてくれる誰かに、きちんとつながるまで)に走り回っていました。
お盆だから、道路もとても混んでいます。特に沿岸部の往復はいつもより渋滞しているので、普段の時間にプラス片道30分は掛かります。そんな中、こんな話を立て続けに今年も聞きました。
「地獄の門が開いたぞー!」
お盆の期間中だけは特別に、地獄に居られる皆さんも、みんなと同じく里帰りをして良いと言われているらしいのです。寄り道せず、まっすぐお家に帰ってくれますように。
確実に家族から見ても、あんまり行いが良くなくても、遺された人が亡くなった家族を思い、帰ってきて欲しいと願う古来からの民族風習なのでしょう。
地獄の門が開く
同時にこの時期は、そのくらい気持ちを正して、身を引き締めて生活をしなさいと言う、昔の人の知恵だとは分かっていても、お年寄りが言うと説得力があり過ぎるから(笑)怖いです。しっかりご先祖様に手を合わせましょう!
だけど、海や川などの水場の事故、山などの遭難事故、高速道路での事故等々、この時期の現場に呼ばれる度に、お盆の存在を強く意識することもあります。季節の変わり目で、自然の様子が変わりやすいこと、その変化しやすい場所に近付くことなかれと言う、昔の人の知恵なのかもしれません。海、山、川にどうしても近付く場合は、詳しい人に聞いてからにしましょうね。
地獄の門が開いたぞ〜!
ん?でも、
地獄の門って何処にあるの?
お年寄りに聞けば、一時期の海や川や山を指すのだそうです。なるほど、やっぱり季節の変わり目の、自然の動きがある時だから、なんですね。
地獄の門が開いて、魑魅魍魎が出てきたら怖い・・・かもしれませんが、冷静に考えてみれば、魑魅魍魎は一人一人の人な訳で、いや、人の心の中のものを表現しているのか。でも何故、魑魅魍魎と呼ばれるのか、それが分からなければ、私にとっての魑魅魍魎ではない訳です。芥川龍之介のくもの糸を思い出しながら考えるのは、お盆の時期だけそこから出れるのなら、ずっとそこから出られるように策を講じて、そっと支援できないものかと、頭を悩ませていました。そこから出られる決定権を持っているのが「くもの糸」の中ではお釈迦さまで、最後のお釈迦さまの気持ちを考えると、芥川龍之介が何を伝えたかったのか、この時期はなんとなく考えていました。さてさて、
暑さ寒さも彼岸まで
暑さももう少し続きそうですが、気候が移行する春の3月の彼岸と、秋の9月の彼岸。次の季節の準備をする時期ももう少し。お盆が終われば、すぐ彼岸。又、ご先祖様を敬う時期を迎えますね。そう、いつだってご先祖様と気持ちはつながっているのかもしれません。日本人は、いつでも大自然とご先祖様を重ねて、生活の中に組み込み大切にしてきたのだと思います。
どうか皆さんも昔の人の知恵を意識して、心して、お過ごしください。
次回は、これまたご要望の多かった「呪い」について語ってみたいと思います。
追伸、
本日納棺のご遺族の、心に残る言葉。
私「ご本人(亡くなられた方)、すごく足が長いですね〜!」
ご遺族「あぁ、確かにそうです。だけどね、足は長いけど、相当・・・、気は短かったですよ〜(´Д` )。ね!ね!(周りの皆さんに同意を求める)」皆さま、大きくうなずく。
お別れの時間は、人それぞれの個性があるから又、良いのです。以上でした。