2015年11月13日

講演に走っています。

「栃木県看護連盟」さま、
気温20℃を超えていた、ポカポカの小春日和の栃木県に講演に伺いました。会場は獨協医科大学付属病院の講堂(こちらに伺うのは、2度目)、県内からたくさんの医療従事者の皆さんがお集まりになりました。

お別れのお手伝いの時間の中にある、様々なことを、皆さんと一緒に考えた時間でした。お看取り後に、遺されたご家族から多く出る要望に、どのようにお答えしていくか等を含めて、お話しをさせていただきました。納棺の時間もまた、亡骸を中心に進めること、その最期の時間である意識を皆さんが持たれているので、様々なお話しが出てきます。一つ一つに心を掛けていく関わり方なども、皆さんのご要望にお答えしながら進めました。


「札幌訪問看護ステーション協議会」さま、
夜の気温が氷点下1℃、北国の寒さを懐かしく感じながら、皆さんのお仕事が終わった18時過ぎからの講演のスタートでした。お申し込みをいただきながらも、スケジュールがどうしても合わずに、2年越しで伺うことが出来ました。会場は満員で、お部屋の暖房も切っていただいたり、皆さんの熱気に元気をたくさんいただきました。特に訪問看護の皆さんの現場は、私たちが故人の死後に自宅に伺う現場と、状況も背景も非常に重なる所も多いため、現場から様々にお伝えしました。

ご本人やご家族の言葉から、普段は人に話さない、話せない内容がお別れの時間には多く出ます。その内容一つ一つを、どのように受け止め、形にしていくか等々お話しをさせていただきました。特に自宅でのお看取りには、様々な方々がお別れに来られます。ご家族も、とても忙しくなってしまうことも多いため、その時間采配をどのように行っていくことが出来るか等々、お話しをさせていただきました。

自宅看取りの場合には、亡くなられる方の希望を多く叶えることが出来ます。例えば、一番希望が多い、菩提寺のお寺さんにお出でいただくために御相談出来たり、近所の皆さんとつながり、地域で関わることも可能です。亡くなられる方が、どのような最期を迎えたいのか。誰かだけが何かをしなければいけないとかではなくて、プロのつながりも活かして人として、みんなでつながって叶えていける、これからはそういう地域づくりが出来るのではないかと、思っています。様々な例をあげて、お伝えしました。

「岩手県看護連盟」さま、
社会問題が多く発生しているのが、今までは「復元」の現場に多く見られていましたが近年は納棺の現場にも、発生していることがあります。家族間の不和あり、地域との格差あり、誰ともつながっていない家庭あり、孤立している方あり・・・。上げればきりがありません。それが良くて、気に入っている生活であれば問題ありませんが、そうではない場合には地域で考えていかなければならない。誰か任せにするのではなく、さり気なくつながっていくこと。いや、昔の日本は元々、そうだったから。

けれども現代でも地域には、その人たちとつながり、関わり、生活に密着して支えてくれていた人たちに出会う事も多くあります。最近、とても感じますがお一人暮らしの死後の発見も早くなり、納棺の時間に家族が居なくても集まってくださる地域の人たち。故人が普段から、皆さんとのネットワークの中で、コミニュティの中で生きておられました。地域の中でコーディネートが出来る人が増えている今。その現場の力は大きい。医療や介護職の方、そして一般の職業の人たちetc・・・、確実に環境の中に笑顔があります。

看護連盟さんは、国会議員の政治家の先生と直接お話し出来る時間をいただくことが多くあります。国の動きが、どのような方向を向いているのか。お話しを伺う度に、今、自分が何をすべきなのかが、明らかになることが多くあります。死から生を考える時間に生かしていただいて、普段から悩み尽くすことが多い私にとって、とても、力をいただく時間です。本当に、ありがたいです。

亡くなられる方も夢と希望をいっぱい持っていて大きな声で笑うし、遺されたご家族も、時間の経過と心の移行と共に大切なことを見付けて笑顔になります。そういう、人のいのちが輝いている瞬間に出会う度に、この仕事にご縁をいただいて良かったと思える時間に出逢います。色んなことを一緒に悩んだり、考えて実行して、ご家族と一緒に失敗をして、笑って再度挑戦なんてこともあります。その笑顔は、死の存在が、生きる糧に変わった瞬間に起こります。

死は決して怖いものでも、嫌われる存在でもありません。誰にでも訪れる、生きているものの定めです。だからこそ、大切な人に何を遺すのか、どんな温もりを伝えておいたのか、おきたいのか。大切な人が困らないように、遺した人が笑顔で生きてくれるように、それを考えて日々生きていかなければなりません。まぁ、正直言えばこれは死の現場で学んだこと。死は、色んなことを教えてくれます。

講演と、納棺と、会社の仕事と毎日向き合う時間をいただきながら、気持ちの切り替えも頭の切り替えも心掛けて、明日からの出張も頑張ります。風邪が流行って来ましたので、皆さまもお身体に充分ご留意くださいませ。皆さまお一人お一人の使命の元、益々のご活躍をお祈り申し上げます。