2015年11月7日

子ども夢ハウスおおつち11月6日

昨日、夢ハウスへ行きました。「クッソー」とみんなに呼び親しまれる藤原代表が大槌町に帰ってきていて、みんな大喜びで、大賑わいでした。

先日、内陸の花巻市の公園に、夢ハウスの子どもたちが来ていた時、少し顔を出しました。その時、「笹原さん、あのね・・・。」と、話してくれる小学生の男の子がいて、「どうしたの?」と聞くと、「お母さんが幸せになるために、どうしたら良い?」と話しが続いていきました。

聞けば、お母さんはずいぶん昔に白い蛇を車でひいてしまい、そのままにしたのが、色々な不幸を引き起こす原因なのではないと言っていました。「じゃあ、今度私が夢ハウスに行った時、白ヘビちゃんについて考えて、何か形にしようね。」と約束をしていたので、昨日は紙粘土を買って、夢ハウスに行きました。

みんなクッソーと遊びたいから、もちろん、そちらが優先になった昨日。でも少し落ち着いた時に、その子が私のところへ来て「笹原さん、白ヘビね・・・。  」と声を掛けてくれたので、私とその子の共同作業で、紙粘土で白ヘビを作ることに。(これが狸だったら、狸を作った。象だったら、象。日本の道路には象は歩いていないけど。)

彼の目的の手前にあることは「お母さんを守りたい」ことであり、とても気にしていたのが「白ヘビ」というキーワード。それが解決出来れば次のキーワードの「幸せ」に辿り着きます。なので、それを形にして、弔う気持ち(自立した昇華の力)を育み、彼の背景の中にある悲嘆を昇華させることが、この作業の目的となる訳です。生活の中にある幸せを探す力、ズレないブレない幸せの価値観を育む時間に移行していきます。(夢のみずうみ村の世界の、夢ハウスの生活の中で、みんなと充分に楽しみながら、自分を育むことがそれに当たる。)夢ハウスの用務員さんとしては、昔のおばあちゃんみたいな知恵も、こんな風に時々必要になることがあります。

そんな時、お母さんがお迎えに来ました。彼は言いました。「お母さん、ちょっと待ってて!笹原さんと、白ヘビちゃんを作るから!」白ヘビに「ちゃん」が付いたので、彼の白ヘビに対する怖さは、ちょっとずつ昇華されているのが分かりました。

お母さんが言いました。「震災後、子どもたちを養うために、必死で生きてきました。ずっと、働き詰めでした。幸せになりたい、いつか幸せになりたいと、あまりにも思い悩みすぎて、働くことで、一緒に居たくてもあまり関われない子どもと、せっかく一緒の時間を過ごせるのに、そんな話ばかりを子どもにしてしまって、私、ダメな親です。こんなに働いてもお金がないから、夢ハウスで過ごさせてもらうことは、助かっています。ずっと長いこと我慢ばかりさせてしまって、少しくらいワガママ言っても良いんだよと言っていたのですけれど、この子は全然言わなかった。でも最近、夢ハウスに来るようになって、やっと子どもらしい姿を見ることが出来るようになってきました。」

クッソーがお母さんの所へ来てくださって、「お母さん、あなたは何も間違ってやしない。」と、お母さんの気持ちを支え、受け止めて、お母さんとじっくり話してくれました。私はその子と、白ヘビちゃんを完成させました。完成した時、彼は満面の笑みでした。

夢ハウスは、子どもたちにとっても保護者にとっても、色々吐き出せる安心できる場になっていました。そりゃ、色々課題も沢山あるけれど、夢ハウスの管理人の吉山くんはそれこそ、昇華する力を持ち合わせているので、様々な人ともつながり一つ一つに普段から向き合ってくれています。

白ヘビは、この親子を呪うことなんか無く、白ヘビと言う存在が、親子の気持ちをしっかりつないでくれていました。それは、お母さんの「弔う」気持ちがそうしたのであって、夢ハウスと言う安心できる場で話し合い、形になったのも、力に代わったようでした。お母さん、本当にとってもステキ。クッソーは、やっぱり深いなぁと、感動した時間でした。

結局の所、東日本大震災も「不幸」と呼ばれ、「死」も不幸と呼ばれ、呼ぶ人は呼びっぱなしですが、言われた方はたまったもんではありません。そう言う言葉に、悩んでしまうのも、背景や環境もあるから、仕方ないかもしれない。だから、何より支え合う気持ちが大切なんだと思います。

さてさて、白ヘビの呪いなのかと考えれば、それは白ヘビしか分からないこと。「そうなの?」と聞くことが出来たとして、白ヘビ本人は「僕じゃないっす」と答えるかもしれない。だからきっと人は、人が発する言葉から心に伝わり、心と共に生きていることは間違いないことなのでしょうね。言葉は、悲嘆を持っている人が安心できる言葉を使ってもらうと、とても有難いです。

ここ最近、子どもたちが手首に付ける念珠を欲しがります。私も今は、彼らの希望の念珠をかき集めて購入してと(私の手首に付けていた念珠もあげてしまって)、頑張っていますが(>_<)、それは子どもたちがこれから生きるために、悲しみを生きる力に代えようとする姿を見ているから。依存ではなく、委ねる形での「弔う」気持ちは攻撃性を無くし、人に優しさやいたわりの心を、生きる力を与えてくれるものだと、この子たちからも色々学びました。

夢ハウスでは、子どもたちが満面の笑みで、体を充分に使って遊んでいます。宿題も、帰り際に慌ててする子もいるけれど(笑)、やんちゃ盛りの「やんちゃ」は、成長期にはとても大切なんだと、こちらもまた、学びました。

日頃からの皆さまのご支援とご寄付に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。