2015年11月14日

社会福祉法人幸生会さま講演

職員全体研修として、90分のお時間をいただいて、東日本大震災後、同じ被災地に指定されている宮城県で、お話しをさせていただきました。

震災でご家族を亡くされた方も何名か居られ、終了後には様々にお話しを伺いました。過去の経験と共に今と未来を考えていく。その中には沢山の後悔も持ち合わせています。今日は「後悔」についても色々とお話しをしていました。

「後悔していることがあります」と、先日伺った納棺終了後に、お話ししてくた子がいました。彼は言いました。

「おじいちゃんが息を引き取る前に、おじいちゃんと少しだけ二人きりになる時間があって、僕は大好きなおじいちゃんに、「あの世に行っても、僕のこと見守ってね!」と耳元で言ってしまいました。後で大人の人が話しているのが聞こえて、おじいちゃんには、おじいちゃんが死んでしまうことを伝えてなかったと聞いてしまいました。僕は、わざわざおじいちゃんに、おじいちゃんがこれから死ぬことを伝えてしまったことを、すごく、すごく後悔しています。」

そう、子どもは大人の話しを、実はよーく聞いているものです。

「おじいちゃんは、(中略)どんな反応だったの?」私が聞きました。

「おじいちゃんは、お話が出来なくなって、自分で動くことも出来なくなって、目を閉じて、息継ぎが早い感じでした。(中略)僕が耳元で声を掛けると、僕の声が分かったみたいで、目は開かないけどまぶたが動いて、口元が少しだけ動いて・・・、むせました。」

「おじいちゃんは最期のときに、孫のあなたの声が聞けたことは、何より嬉しいことだったんじゃないかと思います。それから二つ目に、むせた理由は、それ、おじいちゃん、もしかしたら、笑ったんじゃない?」

「確かに、ニヤッとしたように見えました。(後略)」

「やっぱりね。(笑)あなたが言った言葉は確かに、死を迎えることを確信させたのかもしれない。(中略)でも、ご本人は自分のことをよく分かっていることも多いから、あなたが言わなくても本当は知っていたのかもしれませんよ。何より、あなたが言ったその言葉の中には、「おじいちゃんと僕は、どんなことがあろうと、ずっといっしょだよ」と言う気持ちが込められているわけでしょ?」

「そうです!(中略)おじいちゃんの性格だと、「おまえは〜!」と言いたかったのかも(笑)。」

「おじいちゃん、嬉しかっただろうね。」

納棺の時間にも、遺された人の心の中に「後悔」の気持ちが発生していることがあります。それもまた、大切な人に起こる気持ちです。後悔の中にあるものは、悩んでいる中で様々な視点から見るということを教えてくれるので、色んな意味を持ち合わせている「後悔」は、きっとこれからの人生の中でずっと背中を押してくれると思います。人のせいにせずに自分と一生懸命向き合って、悩んだり、苦しんだりした人しか出せない言葉が確実にあることを、私は現場で知っています。「後悔」は「反省」と同じですから、はっきり言って反省出来る人に悪い人は居ません。

今日の講演も、皆さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

講演後も皆さんの思い思いのお気持ちを伺いながら興奮冷めやらぬ中、ご挨拶をしてダッシュして、出発3分前に新幹線に乗り込み、間に合いました。(笑)明日は大宮で講演です。