2015年11月23日

日総研さん、札幌セミナー

会社の仕事、納棺の現場と、地域のこと、地域の子どもたちとのつながりもずいぶん増えて、1日の24時間をどう使うか・・・。ご遺族の皆さんと一緒に考える大事な時間の使い方に、どんな風に時間を組んだら良いかなぁ〜?と、まだまだ悩みながらの、毎日です。

つい先日の納棺に伺って、この仕事をしている中で初めての体験をしました。納棺中、いつも通りに足袋をご遺族と一緒に、故人にお付けしようと思ったら、何と!右の足袋と左の足袋の紐が切れてない!つながっている!(うそぉー!今⁉︎こんなことがあるのか!)ハサミを使うことを強く嫌うしきたりの地域だったため、流れが途切れないように急きょ違うことをお願いして、コソコソと一人ではさみを持って廊下へ・・・。ことなきを得ました。本当に、びっくりしました。

又、納棺の時間に、故人といつも自由研究を考えていたと教えてくれて「笹原さんは、研究ってしたことあるの?」ご遺族の小学生の子に帰り際に聞かれ、「あるよ!蛆の生態!」って元気に答えたら、引かれました(笑)だけど、その後に質問攻めにあって、とても困りました。実際には、蛆の生態を知りたかったけれど、あんまり忙しくて蛆が干からびてしまっていましたというのが、私の研究結果です(笑)だから、学校の自由研究では、蛆の発表はしない方が良いと思うよと話しました。

土曜日は札幌で日総研さんの新講座がスタート。片道3時間以上も掛けて来てくださった方も、お休みを取って受講してくださった方も、皆さんと様々に、現場の中に存在する課題について考えました。セミナーの中で、

「全国的に、様々な業種のみなさんが開催するサロン活動が大変多く行われ、そのサロンは賑わっていますが、岩手県では、サロンのことを「お茶っこ」と言います。だから、被災地でもお坊さんのサロンは大変な人気ですが、地元の人は「お坊さんのお茶っこ」と呼んでいます。」

その「お茶っこ」という言葉が素敵だと、皆さんから大絶賛されましたが、納棺の時も「お茶っこ飲んでけ〜!」と声を掛けていただくことも多くあります。次の現場があるから、一気に飲むこともあります。でも、「ありゃ〜」って言われて喉が渇いていると思われることも多く、おかわりが出てきます!二杯目は、急いでいても三回に分けて飲んだりします。お年寄りから言われると、素敵過ぎて絶対に断れない、お茶っこです。

「ところで、お坊さんが拝むと亡くなった人の体が柔らかくなるって本当?」と質問をされました。

現場でも、そう話しているお年寄りは実は、とても多いです。「お坊さん」と言うキーワードがご遺族から出ている場合、お坊さんの存在自体がご遺族の希望になっていることがあります。だから、分かっていても余計なことは何も言わないことの方が多くあります。気持ちが立ち上がろうとしている時に今、真実を話さなくても、委ねる気持ちや信仰心が気持ちを支えてくれますから、それが優先であり、それを邪魔をすることがあってはならないからです。

実際には、元気だった方は死後の硬直が強く起こります。安置や疾患などの条件により時間は異なりますが、硬直はいずれ緩和され、解けて柔らかくなります。それが、自然な死後の変化です。お坊さんが拝んでくださるタイミングが、実は硬直が解けるタイミングと重なることが多くあります。特に、死後1日〜3日の間に多く行われる納棺の時間は、それに当たります。「お経を上げてもらったら、柔らかくなった。」と言われたら、「そうですか。(にっこり)」で良いと思います。こういう自然な死後変化を何かに悪用されるのは非常に悲しいことですし、これを信じるのを通り越して思い込むのも、見ているととても苦しく感じます。聞かれたら、伝えるべきか、伝えないべきかは目の前の人の気持ちに配慮して、伝える内容も大切かもしれないけれど、伝え方を大切に考えられれば良いと思います。

だけど、「笹原さんが触ったら、柔らかくなった!」とは言われません。復元納棺師なんて、そんなもんです(笑)「どうやって、こんなに柔らかくしたの?」は聞かれます。高齢者の男性で、むかしは納棺を担当していたと話してくださる皆さんからは、「なぜ、関節が鳴らなかったの?」と、興奮状態で解説を求められることは多くなりました。ご遺族の前では当然、傷付けますから説明は出来ませんので、「では、納棺が終わってから、説明致しましょう。」とお伝えします。セミナーの中では本当に色んな質問をいただき、大切にされていたお気持ちを教えていただき、ありがとうございました。

札幌の夜の気温は0°C。やっぱりラーメンは美味しかった!岩手県に帰ってきて、少し暖かく感じました。札幌からのスタートで、これから新講座で全国を回らせていただく予定です。皆さまにお会いできること、楽しみに致しております。