2016年7月21日

復興教育授業

北上市立飯豊中学校からのご依頼で、三年生116名と保護者の皆さまに向けて、復興教育授業に伺いました。

校長先生は、東日本大震災発生時に、釜石東中学校の校長先生をされていました。校長先生の東日本大震災時のご経験から、現在は「防災教育授業」「復興教育授業」など、校長先生としての職務をされながら、多くの子どもたちに東日本大震災を伝えるため、県内外の授業に飛び回っておられます。

前回は、校長先生の防災教育授業を受けた皆さん。今回は、私の経験からお伝え出来ることを、校長先生からバトンタッチして、中学生の皆さんにむけて咀嚼(そしゃく)しながらお伝えしました。皆さん一人ひとりがしっかりと事がらを噛み締めて、自分の中に組み込みながら聞いてくれた、とても良い雰囲気の授業でした。

東日本大震災から5年が経ち、春から少し内容を変えている、復興教育授業・いのちの授業です。昨日は、中学校三年生であることで受験というプレッシャーとの向き合い方や、悲しみやショックを経験したときの皆さんの体の仕組みについてと、生と死に於いて体に起こる違いについて、ミトコンドリアの話しを加えて、お話ししました。皆さん、興味津々、身を乗り出して聞き入ってくれた時間になりました。

「ミトコンドリアについて(中略)(少し歓声の声が上がる)。

人はプレッシャーを前にしたとき、悲しみや苦しみを経験したとき、その中で孤独感に押しつぶされそうになることもあると思います。(みんな、何度も大きくうなずく)

本当に1人だと思いますか?
本当に孤独だと思いますか?
(みんな、えっ?っという表情)

ミトコンドリアについて、もう一度考えてみましょう。(中略)ということで、例えば自分の腕を、よく見てみて!はい、もっとよく見て!皮膚があるでしょう?

皮膚には、細胞があり、細胞はミトコンドリアなどから成ります。ということは、皮膚の中には母方の御先祖さんが、みんな居てくれる訳ですよ。トメさんも、ツルさんも、カメさんも、正子さんも・・・、正子さんは、私のおばあちゃんだけどね。(笑)(みんな爆笑)

じゃ、もう一度腕を見てください。今度は、血管が見えるでしょう?血管の中には、父方の御先祖さんが、いっぱい居てくれます。トメ吉さんも、ツル吉さんも、カメ五郎さんも居ますよ。

1人の人の中に(中略)、父方の、母方の御先祖さんが実はいっぱい存在し、共に生きてくれています。だから、誰も1人ぼっちではない。世の中に、1人ぼっちの人なんて、実は1人も居ないんですね。

それが(中略)、ミトコンドリアです。ひとのミトコンドリアを調べたら、この人が誰なのか、調べたい代の御先祖さんの生活も、体から知り得ることは色々分かります。(中略)これがミトコンドリアDNAである訳ですね。

だから、プレッシャーに向かうときも、受験を頑張ってるときも、1人で頑張っているように感じても、実は御先祖さんがいっしょに頑張ってくれています。

悲しみも、苦しみも、辛さも、喜びも、みんな共に、実は何でもいっしょに過ごしてくれています。ね、1人ぼっちではないでしょう?(みんな、目がウルウル。大きくうなずく)

人が持つ、1つ1つの感情と向合うとき、プレッシャーの向こう側にはね、自分が今まで知らなかった世界があり、チャレンジした人にだけ限り出会える、ステキな世界があるんです。もう、頑張れますね?(みんな、大きくうなずく)

そのようなお話しをしながら、70分皆さんといっしょに「生きること、死を迎えること。」「逝く側と残される側の気持ち。」「意識して生きることなど」、東日本大震災の体験談を組み込みお伝えしました。

「東日本大震災発生後の安置所の中で、家族を探しているときに、何度も笹原さんを見掛けました。いつも、棺の傍で家族の人たちとお話ししていた姿を見て、一度で良いから私もお話ししてみたいなと、思っていました。今日は、お話が聞きたくて、来ました。来て良かったです!」と話してくださった、保護者の方が居られましたよと、先生方から教えていただきました。

先生方が、色々と手を掛けて整えてくれたステージで私も子どもの頃は、すっかり自分の力だと勘違いしながら(笑)生きていました。人のお世話をさせてもらうようになって初めて、先生方や親の愛情や、縁の下の力持ちの苦労や、思いやりを知りました。「そうかぁ、あれは、そういうことだったんだ!」なぁんて、気が付いて。気付いて、何か人の思いを知ったときが、人生の宝物の時間になります。今日は、先生方が整えてくれたステージで、皆さんと過ごさせてもらいました。大変なことも沢山あったと思います。おかげ様で、素晴らしい時間を皆さんと過ごさせていただきました。お世話になりました。ありがとうございました。

校長先生と、私の授業を受けて沿岸被災地に授業に行くと、伺いました。気を付けて、行って来てくださいね!

また皆さんにお会い出来ることを、楽しみに致しております!