2016年7月28日

怖いはなしシリーズ17

「おしょうらいさま」

お盆が近いからでしょうか。不思議な話を耳にすることも増えてきました。御先祖さま、あの世から帰って来る人を「お招霊(おしょうらい)さま」と呼ぶ人も居ます。

「お招霊(おしょうらい)さん、ちょっと早く来たかも⁉︎」

と話すコンビニの店長さんは、

「なんか夜中の12時過ぎると、店の自動ドアが勝手に開いたり、閉まったり。店に居るお客さんが「えっ⁉︎」って自動ドアを見てびっくりしてたり。ありえないけど、冷蔵庫の照明の方の電気が勝手に消えたりするんですよね。朝の4時頃まで、頻繁なんです。お招霊さん、もう帰ってきたのかなぁ?早く帰ってくることは良いんですけど、電気が点いたり消えたり、自動ドアが勝手に開いたりするから、電気代が掛かる(´Д` )」

それは、そうだ。どうせならこの時期は、せっかく来店してくれるあの世の人のためのポイントカードも必要かもしれないね。と、話していました。海外なら、ゴーストショップとか言って、ずいぶん流行ると思います〜♪( ´θ`)ノ

「テレビが勝手につくんです。つけるの良いけど、消してくれないと困る。お招霊さんに、テレビの消し方を教えないと。だって、お母さんに怒られちゃう!」

と話してくれた高校生。まずはリモコンの使い方から、教えてあげないとね。むかしの人から見ると、時代が変わってるからね。だけど帰ってくるのが早いですね、もしかしたらあの世も、交代制になったのかしらね?お盆期間中の早番と、遅番ね。

「夜中に家の中で、人の歩く音がするんです。しかも、最近頻繁で、寝不足。お盆が近いからお招霊さんが、早めに帰ってきたのかなぁ?」

と話してくれたサラリーマン。歩くなら、日中にしてもらえると助かりますね。寝ないと、体が持たないもんね。旨の内を打ち明けて、活動は日中でお願いしたいと、相談をしてみたらどうでしょうね?きっと、了解!って言ってくれると思うけど。

私に話してくれる人は、みんな大切な人を亡くした経験のあるご遺族ばかりです。一般的に怪奇現象と呼ばれる現象との関わり方も、なかなか個性があって、人情味があってステキです。

日本の伝統文化とされ、大切にされて来た、お盆。

お盆の初日のお迎えの日は、
キュウリに割り箸などで首と顔、手と足を刺して作った「馬」で早く帰ってきてくれるように(精霊馬)、仏壇に供えます。お盆の入りの日には、玄関の前で松明(たいまつ)を焚(た)いて、迎え火を。

帰るときには、茄子に同じく割り箸などで手と足を作った牛で、ゆっくり帰ってもらえるようにと思いを込めて作ります。玄関の前で、松明を焚いて「またね〜!気を付けてね〜」と、御先祖様のお見送りのために、送り火を。

そんな風に御先祖さまや、あの世へ逝った大切な人たちを迎えるためのお盆が近くなり、その準備も忙しくなり、おしょうらい(お招霊・御先祖様や亡き大切な人)さまへの思いが少しずつ増して来ている、今時期のようです。

大切な家族を亡くした人たちにとっては、やっと帰って来てくれる時期を迎え、誰にも気兼ねなく、亡き人を偲べるお盆。会う人、会う人から想い出話しをたくさん伺える期間でもあります。

お盆前から始まる、不思議な現象(怪奇現象)は、お盆が終わるとスパッと無くなるのも、お盆の特徴です。

ちなみに岩手県では、「座敷わらし」と呼ばれる、むかし病気や様々な時代の事情で生きることが出来なかった小さな子どもたちの存在がありますが、

存在を知られず、誰にも拝んでもらえなかったため、この子たちは幽霊にもなれず、お空にも上がれず、気に入った家に住み着いて暮らしています。

なので、帰るところが無いので年中居ます。桜の事務所にも、時に誰かに姿を見せたり、気に入った人には物を落として見せたり、何とも迫力の無い怪奇現象を起こし、足音を立てて走り回る座敷わらしたちが居ますが、納棺にご縁をいただいた方々が自分のお家にお帰りになり、桜に寄ってくださった時には、きっと遊んでもらえるでしょうね。と、ご遺族の皆さんと話していました。「ばぁちゃんに」「母に」「祖父に」「姉に」「娘に」「息子に」お盆に帰って来て、その帰りには桜に寄って、座敷わらしと遊んでねと、言っておきます!

この仕事をしていると、怪奇現象は日常茶飯事、普通に毎日起こります。そんな中、あの世も、この世も関係なく、みんなに可愛がってもらえる座敷わらし。今が一番、幸せなのかな?と、みんなで話して、座敷わらしを思ってくれる人の気持ちを教えていただきながら、こちらも癒されるそんな毎日を過ごして居りました。