「言うだけ、ただだから!(笑)」
そんな我が家のじじも、84歳になりました。
昔の人だから、家のことをきちんとしないとダメだという厳しい人なので、どんなに忙しくても炊事、掃除、お客さんへのおもてなし等々、実は昔からけっこう厳しい。٩( ᐛ )و
だけど、お料理もお掃除もプロ並みに、何でも出来るじじ。本当は口出ししたいことも山ほどあると思うけど、やりたいようにやらせてくれて、ちゃんとやっていれば文句一つ言わない。(自分が頑張っていることは、訪問診療の時に言うのが楽しみみたい(笑))
歳を取り、重たいものが全然持てなくなったので、
買い物に行っても1リットル以上のものは、買うの禁止。何故って、買い物袋を持って歩いていたら前のめりになって、止まらなくなって、
「大丈夫ですか!」
って、何度もお店の人に助けてもらっているから。ありがたい、ありがたい。
「昔みたいに歩幅がさぁ・・・、グッと足が前に出ないんだよ。踏ん張れなくなったぁ。」結局、重たい物を持って、助けてもらって、最終的に落ち込むから。1リットル以上のものは、禁止。
なので家の中では、じじが転んで怪我をしないように、段差を出来るだけ無くすように気を付けている。
先日のことだ。
「ピンポン鳴っても、間に合わない。」と、じじが言った。
ピンポンが鳴る
↓
じじの部屋から急いでスタート。
↓
玄関に着く
↓
鍵を開ける
↓
誰も居ない
↓
辺りをキョロキョロ
↓
やっぱり居ない
↓
ポストにご不在通知が!
年寄りの居る家は、玄関に出るまで時間がかかる。歩幅が狭く、ダッシュすると転んでしまうけど、頑張って急いでいる。でも、それを誰も知らない。
いつもの宅急便の人なら待っていてくれるけど、違う人が来た時は、いつもこんな感じ。だから私は言う。
「じいちゃん・・・、どんまい!」
先日のことだ。
納棺現場を終えて携帯を見ると、
「着信 じじ」
とあった。何かあったのかな?と心配になった。だから、じじの携帯に電話を掛けた。
私「もしもし?」
じじ「あ、じじだよ!」(私の心の声→いや、そうだよね。だって、じじにかけたんだもの!)
私「どうしたの?何かあったの?」
じじ「あ、ケチャップとマヨネーズ買ったから!」
私「(心の声→えっ⁉︎今⁉︎)ありがとう。」
じじに買い物を頼むと、何故か台所のテーブルの上に、それはもうきれいに品物が並んでいる。
本当は言いたい・・・。片付けてくれたら良いのに。でも、言えない。じじの顔が、買い物行って来たから!的な、どうだ!みたいなドヤ顔になっている・・・。だから私は黙って、静かに、片付ける。私、えらい。
ちょっとすごいところもある。
我が家の3匹の猫が、きちんとじじの言うことをきく。というより、じじの動きに合わせて、気を使っているようにさえ見える。これは、まさに魔法に違いない!
じじ「はい、掃除するから、これに入りなさい。」
と、猫のゲージの戸を開ける。猫たち3匹、次々と別の小さなゲージに入る。
じじ「はい、ちょっと待っててね。」
小さなゲージの扉は開けっ放し。私が同じことをしたら、きっとチャンスとばかりに逃げられる。が、猫たちはそのまま中にいる。
じじ「はい、終わったよ。どーぞ、お帰り。」
猫たち、次々と言うことを聞いて猫小屋に入っていく。なんとも・・・、素晴らしい魔法だ。
それから「育爺(いくじい)」と呼ぶと、喜ぶ。言い過ぎると、怒る。(笑)
お孫さんを亡くした祖父母の心の援助の希望があることも多く、納棺の現場の後で、アフターに行く前に、おじいちゃんの気持ちを相談することもあります。ゴーゴー泣きながら教えてくれるじじのアドバイスは、実はとても為になる。現場から戻り、祖父母の方々の心の深さを伝え、相談に乗ってくれた御礼に、じじの大好きな羊羮をプレゼント。
「年寄りでも役に立つことがあるなら、いつでも声掛けろよ!」
と語るじじの後ろ姿を見て、相談したことが嬉しかったのか、羊羮が嬉しかったのか・・・。きっと、誰かの表情が穏やかになってくれたことを、共に喜んでくれたのだと思います。が、完全にゴーゴー泣いたことは、棚に上がってる。年寄りは、何でも棚に上げるのが上手なのだと、じじ談です。
小さくなった背中に、頼もしさを感じました。
そんなじいちゃん、5日で84歳になりました。私がブログで勝手にじじのことを語っているのは知りません(笑)。じじのファンが意外に多いことに驚かされます。いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。ずっと元気でいてもらいたいものだと、思います。