2016年12月19日

日総研さん大阪セミナー

「新生児・小児におけるエンゼルケアとグリーフケア」の講座が大阪からスタートしました。こちらの講座で全国の主要都市を回らせていただくのは、3回目となります。

全国各地の地域にある民族風習のお話しをお伝えしながら、現場からお別れの時間の中にある希望や、その方それぞれの立ち位置と役割・心情、関わり方やタイミングを含めて、

お伝えしたいことは山ほどあれど、皆さんの現場に沿った形で、大切なところをお別れの時間からピックアップしてお伝えしました。

赤ちゃん・小児の医療専門職の皆さん、産婦人科、NICU、GCU、小児科、遠くは愛知県からもセミナーにご参加くださいました。

私も、過去のお別れのお手伝いをさせていただいた現場を想い出しながら、お話しをさせていただきました。

質問も沢山いただきまして、セミナーの中で回答しながら、進めていきました。印象に残った質問は、

「死んだ母ちゃんの写真を家に飾っているお母さんを、心配しています。」とありました。

なので、母親の心理を解説していきました。

「生きていても、死を迎えていても、母親にとって「子」であることは変わりません。「可愛い」と思う我が子の写真を飾っているというだけの、正当な理由であると思うし、何も心配はいらないと思います。

そのお母さんの世界の中の話しですし、誰かに迷惑を掛けている訳でもないですしね。そのお母さんにとって、生死は区別するものではなく、一つなんだと思います。私は、ステキなお母さんだなぁって思いますし、それを心配してくれる助産師さんもステキだと思います。良い関係なのですね。

子を亡くした経験がある親なら、このお母さんの行動を聞いて、よく理解出来ると思います。それこそお母さんたちから、「普通!普通!」なんて声も、聞こえて来そうです。

助産師さんとお母さんが、良好な関係であることが分かるので、いつか聞けることがあれば、お母さんに聞いてみると良いですよ。「可愛いですね。」って。「そうでしょ〜〜!」って、親としての普通の感情から起こる行動だということが、心に伝わってくると思います。」

私の担当させていただいた現場で、こんなことがありました。

赤ちゃんを亡くしたお母さんは、最初は取り乱していました。大切な子を亡くしたのですから、当然の心情です。一緒に色々と進めていくうちに、お母さんが言いました。

「赤ちゃんを抱いて、お散歩に行きたい!」

初めて授かった赤ちゃんだと、教えてもらいました。お母さんの表情は、母の顔をされていました。死んだ赤ちゃんを抱いて、外へ出てしまえば今の世の中、全ての人がその行動を理解して受け入れてくれるわけではありませんから、私の立場としては、親子の関係性をこれからも育んでもらいつつ、親子を守りたい。

お母さん「外にお散歩に行って来ても良い?」

私「外に出ると、赤ちゃんが陽に当たっちゃうから、体が傷みやすくなりますよ。だから、帽子を被したり、お顔が少し隠れるようにして陽を当てず・・・、お庭なら良いですよ。何かあってもすぐ、戻って来れるでしょ?」

お母さんの希望を叶えるための方法を、必死で探しました。お母さんが傷付かないように、言葉を一つ一つ変換していきました。

お母さん「そっか。分かった!」

お母さんは、死を迎えた我が子を抱きながら、お庭でお散歩をして、時々足を止めては子守唄を歌っていました。火葬を迎えるまでの時間しか、抱くことは出来ません。私はそれを知っているから、二度と戻らない今の時間を大事にしてもらいたいと思っています。出来ることなら、今の時間を宝物にして生きる力に変えて欲しいと願わずにはいられません。

骨を食べたり、少し隠し持っていたり、子の髪の毛を食べてみたり、腐敗が始まっていてもずっと抱いていたり、色んな愛情表現があるんです。でも、その行動は悲しみの深さに等しいと思うから、私は人に迷惑を掛けていないなら、良いと思います。

問題なのは、子を亡くしても悲しみの感情の線に触れていない人。目の前の子の死を、物のように扱う人。そういう状況の中での対応は、伝えていく方法が大きく変わりますから、最終的に死の意味を理解していただくまで、違う意味での神経を使います。ちなみに説得はしませんが、そういう現場もあるんです。

人それぞれの感情と出逢う、それがマニュアルが通用しない、死の世界の課題だと思っています。人と出逢うということは、きっとそういうことだと思うので。

質問の時間には他にも色々ありましたが、皆さんの赤ちゃんや子どもたちに、親御さんに向ける深い愛情、気持ちも沢山伺うことが出来ました。セミナー中は、涙が止まらなくなった方が数名居られました。自分のケアのために、このセミナーに来られる方は沢山居ますから、今後も皆さんそれぞれの意味で、活用いただければと思います。

朝から夕方までのセミナーでしたが、本当に皆さまお疲れ様でした。




【おまけ】
病棟でこらからクリスマス会をするとのお話しも伺いました。なので、少し情報提供をしました。

サンタクロースは2種類居ます。

赤いサンタは、良い子にお菓子やオモチャなど、欲しかったものを持ってプレゼントをしてくれます。が、

黒いサンタも実は居て、ブラックサンタと呼ばれます。片付けをしない、ワガママを言う、人に迷惑を掛けるなど、悪い子の所にはブラックサンタが現れて、お仕置きをするらしいです。(多分、戒めの話し・・・、どこの国にもあるんだなぁ〜。でも、ブラックサンタ怖いっ!)

さて、皆さんのところには、どちらのサンタが来るのでしょうか⁉︎いや、来て欲しいでしょうか!と考えれば、行動も変わるのではないでしょうか?(笑)