2016年12月4日

ラクダ物語

おじいちゃんとお孫さんのお別れの話し。

おじいちゃん、80代。お孫さん、高校生。ずっと泣いていたお孫さんが、棺の蓋を閉める前に言いました。

孫「ぼく、じいちゃんっ子だったんです。」

私「そうですか。(頷く)」

孫「よく、ケンカもしました。」

私、頷く(ある、ある。)

孫「どうしてケンカしたかって、いつもちっちゃなことでした・・・。」

私「そっかぁ。(そう思えることが偉い!)」

孫「冬に入る前だったと思います。寒かったので、「今日、寒かったね。」って、じいちゃんに言ったんですけど、

次の日じいちゃんが、インナー(タイツ)を買って来てくれたんです。見たら、素材はフワフワで肌(ラクダ)色、「こんなのいらない。」って言ったら、じいちゃんが元気なくなっちゃって。

学校でみんなの前で着替えるとき、カッコ悪いと思ったんです。だから、いらないって言っちゃった。せめて黒とか、カッコイイ色が良かったんです。どうしておじいちゃんは、あれを選んだのかなぁ?」

私「あなたがその色をカッコイイと思うように、おじいちゃんにとっては、あなたにプレゼントをしたインナーが、おじいちゃんにとって、一番カッコ良くて、あなたを暖かく守ってもらえる、最高の物だったんだろうね。・・・愛されてたんだね。」

孫、何処かへ走っていく。・・・しばらくして戻って来て、

孫「これですよ。」

私「(・・・なっ!これは、友達の前では履けないかも・・・。)そっかぁ・・・。」

孫と私、笑う。

孫「これから、履こうかな。「じいちゃんにもらったんだって、友だちに言えば良いし。」

私「いや、無理をしなくても良いと思うよ。家で履いても良いんだしね。毎日履いて過ごすのも一つ、大事に取っておいて、形見で持っているという方法もあるよ。」

孫「じいちゃんと、買い物に行けば良かったんですね。そうしたら、僕の好きなものも、じいちゃんの好みも分かったのに。」(価値観を擦り合わせて、共有する方法を見付けたことが、すごいね!悲しみは、そういうことを教えてくれます。)

私「大抵は、大事な人(亡くなった家族)の写真を手帳とかに持って歩く人が多いんだよ。例えば、買い物に行くときに気に入った物を手にしながら、

「おじいちゃん、ぼくは、こういうのが好みなんだよ」

って、心の中で話しかけてみたら?それから、おじいちゃんだったら、どんなのを選ぶかなぁ?って見てみたら?これかな?これかな?って、探しているとクスッとステキな笑顔になれるよ(笑)。」

孫「うん、そうします!」(スゴイ良い顔)

私「その笑顔は、おじいちゃんと過ごしていた時の笑顔だからね。笑顔、大事にね。笑顔を大事に出来るということは引き続き、おじいちゃんを大事にしていることだからね。

肌着を選んでいるとき、あなたのことを思って、良い笑顔でおじいちゃんも選んで買っていたんだと思うから。肌着の件は、解決。その笑顔に意味を持って、大事にね!」

孫「はい!」

以上、ラクダ色の肌着が2人をつないだ、ステキな物語でした。


追記、
お空の上のおじいちゃん〜〜!!!!!!せめて、黒とかでお願いしまーす!しかしながら、おじいちゃんが愛情いっぱいで関わられたから、ステキて可愛いお孫さんでしたよ〜!!