2013年4月17日

福島県 2

翌日の朝は、『小高から避難して三年目、節目に思うこと〜今 ここに生きる〜』お願いをして、講演に参加させていただきました。講演をされたのは、僧侶の方でした。相馬藩の菩提寺、海岸から4kmの所にあるお寺で、小高地区も海岸にある町は壊滅だったそうです。原発からすぐ近いお寺さんで、町の住民の方々は全員、現在も仮設住宅に住んでいるそうです。住職には、小さなお子さんが四人居て、原発に詳しかった住職は、奥さんと子どもさんたちを全員すぐに福井県に避難させたそうです。毎日福井県から福島県に通いながら、檀家さんを探して各地を回ったそうです。一年以上過ぎた時、『墓参りがしたい。寺に行きたい。』と言われるお年寄りが増え、『お盆にもお参りが出来なくて辛い。』との声が多くなり、県庁に問い合わせて許可をもらい、震災後に一人でやっていたお寺の掃除にお誘いすると、みんな喜んで参加してくれて、今では放射能の問題もまだまだあるので、月に二回はお寺の掃除の日を決め、集まる会を続けているそうです。檀家さんはとてもイキイキとお掃除をしてくれて、住職はその姿を写真に納め、今はバラバラになっているご家族に、この表情のご本人方々の写真をいつか見せて差し上げたいと、おっしゃっていました。住職と家族もまた、離れ離れだったそうで、五歳の息子さんが『福島県に帰りたいです。』と絵馬に書いた願い事を見て、住職は奥さんと号泣されたそうです。今年に入り、福島県内の放射線量の低い所に家族を連れて帰り、今はそこから通行許可証を持って、お寺に通われているそうです。時が立ち、もう一つのお寺では、茶筒と同じ大きさの大きなネズミが大量発生していて、来週はその対処に通行許可証を持って、また山寺に入られるそうです。お寺は、10万ベクレル以上汚染されているそうです。1kgの土から1ベクレルは1秒間に放射線量を1発出している計算で、8000ベクレルは、1秒間に1kgの土から8000発出しているということ。10万ベクレルは、私には想像がつきませんでした。福島県は、放射線量の非常に高い所と非常に低い所があります。福島県の人は、そこを上手に知り、子ども達に教えて生きていらっしゃいます。とても詳しい方が沢山いらして、いつも色々教えていただきます。これからの活動は、大人になる子ども達の為に、自分の目で見て、自分で判断してみんなで進んで生きて行くと、おっしゃっていました。去年のお盆には、通行許可証を県庁に申請したお檀家さんが沢山集まられて、本堂には人が入り切らないほどだったと、おっしゃっていました。ご住職のお話はとても印象に残る事が多く、毎回福島県に伺う度に、沢山教えていただきます。岩手県にも、沢山福島県から引っ越して来られた親子がいらして、納棺の時間にも、福島県の子ども達に会います。疎開した先で親を亡くす子ども達に、私は納棺の現場で会う訳です。ただ『知らない』と済ますのではなく、知ろうとする気持ちで向き合わせていただくこと、子ども達の今を、大人の私たちがどう、未来につなぐのか。様々なそういう課題に、今、私は直面しています。