2015年7月25日

怖いはなしシリーズ5

幽霊になった友人に会った、おじいさんのはなし。

ある日の朝、目が覚めたら若い頃にお別れをした友人が、目の前に立っていました。・・・ような気がしましたが、気のせいかと思い、気にしないでいました。

翌日も、目が覚めると友人が目の前に立っているような気がして、思い切って話しかけてみたそうです。

「やっと気が付いてくれたか〜。」

友人は嬉しそうに言いました。そして、私(おじいさん)に聞くのです。

「生きているって、どんな感じ?」

そう聞かれて、初めて気が付きました。生きていることは、他者である誰かが「生きている」と関係性の中で知らせてくれるもの。と言うか、生きていることが前提で関わってくれていることが通常で、生きていることすら意識していないのが自分の生活の常なのかもしれない。

だから、自分では生きているのか、死んでいるのかさえ、本当は分からないものなのかもしれないなと。

「死んでいるって、どんな感じ?」

と、私(おじいさん)は聞き返しました。自分の答えが、もしかしたらその中にあるのかもしれないし、友人が質問した内容について、友人の意見を聞けば、友人が欲しい答えを見付けられるのかもしれないと思ったからです。

まぁ、お互いによく分からないと言うことで、今から何かしら生死を意識をして過ごして行くのだろうと話し合った訳です。

友人「年を取るって、どんな感じ?」

おじいさん
「あのね、年寄りは耳が聞こえにくい、

目がかすむから、幽霊なのか気のせいなのかも分からない。

幽霊かと思って怖くても早く動けないし、

若い頃の自分と随分違うから、戸惑うよ。体のことばかりだけどね。(笑)」

すると友人は「・・・、それはきっと、こちらの世界には必要ないものだから、こちらに来る準備を少しずつしているのかもしれないね。」私(おじいさん)は、何だか気持ちが楽になりました。

自分が死を迎えるとき、身内や友人が迎えに来ると言うから、それかと思って「そろそろか」と覚悟を決めて早6年。迎えではなかったようで、だったら一体何だったんだ?と、随分悩んだと言います。

「だけどね、その後に不思議なことがあったんだよ。孫の夢に、「しょうゆ団子が食べたい」と言う男の人が出てきたと。しかも、やたら滑舌の良い人だったって。孫は14才で年寄りじゃないから、そこは頑張るところじゃないんだけどね。「耳が聞こえにくい」と言う私のはなしを、きちんと聞いてくれていたんだね。友人は、しょうゆ団子が好きだったから、供えてあげたんだけどね(笑)」おじいさんは、目に涙をいっぱいためていました。「生きていようと、死を迎えていようと、会えたことは何より嬉しい。」

このお話しを教えてくれたおじいさんは亡くなりましたから、きっと今頃は、一緒にお友だちと仲良く過ごされていると思います。

他にも人が亡くなる時、挨拶に来てくれると言う話しは、納棺の時間にもよくご遺族から教えてもらいます。「来てくれたんだよ〜。」って。

私のお部屋にも、「あ、誰か居るなぁ。」時々そんなことがあります。不意に時計を見ているので、後日、時計を見た時間と同じ時間に亡くなっていたと聞くと・・・、

怖いというより、「色んな人のところに行かないといけない中で、わざわざ私の所にも寄って下さったんだなぁ。」って、目がウルウルして、お別れはとても淋しいけれど、最期に私を思い出してもらえたと言う意味で、心がつながっていることを知り、嬉しい気持ちになります。

幽霊とかあの世とか、オカルト的な感じで扱われることが多いけれど、死を経験した人にとっては、それは希望の塊になっています。だから、そんな話しを聞いたら、「会えて、良かったね!」と体験をした人に声を掛けてあげてくださいね。

お盆が近いから、不思議体験も増えてきましたね。どうぞ素敵な時間を、お過ごしくださいませ。私は今年も「しょうゆ団子」と、おじいさんが好きだった黒糖黒飴を忘れずにお供えしたいと思います。