納棺の時間に、実はよく拝見する光景があります。
お鍋の中に話しかけるおばあちゃん。
「美味しくなぁれ」
お線香に話しかけるおばあちゃん。
「ちゃんと燃えてね」
生花に話しかけるおばあちゃん。
「きれいだねぇ」
ドアノブに話しかけるおばあちゃん。
「いつも、ありがとうね」
棺の布団に話しかけるおばあちゃん。
「守ってちょうだいね」
なので、
私はちょっと聞いてみました。
「何かいるんですか?」
おばあちゃんが答えました。
「ん、あんたそりゃあさぁ、神さま仏さま。」
おばあちゃん、にっこり。昔は物が無かったから昔の人は、目の前の全ては縁のあるもので、今を生きるためにいただいた、神さま仏さまの御加護だからね、何でも大切にするんだよ、と教わりました。
大切に思うから、心を込めた丁寧な所作になる。困った経験をたくさんしたことで感謝に変わるから、何でもありがたいと思う生活になる。
仕事は一方的に行うものではなく、教えてもらうことが多いのも、仕事なのだと言うこと。お互いの気持ちが通じて、初めて仕事の成立になるんだと、日々学ばせていただきます。感謝、感謝です。