2015年10月21日

怖いはなしシリーズ12

出張がとても多いのですが、出張のときはホテルに泊まります。ホテルの部屋は、仕事に集中するのにとても適しています。

先日も、ホテルに泊まりました。まぁ、時々部屋の中で変な音がしたりするのですが、そういうことは慣れているので、あんまり気にしません。音が気になって仕事に集中出来ない時は、そういう時のために持ち歩いている耳栓をします。先日も締め切りの近い原稿を、朝方まで書いていたのですが、なんと夜中の2時に私の部屋の電気が突然ぱちんと消えました。

いつもは優しく対応出来るのですが (怪奇現象と呼ばれるのでしょうか?こんなことは、しょっちゅうです。電気系統は実に多い)順調に書いていたのに、突然消えたので少しムッとして「チッ」と舌打ちをしました。そしたら、電気が点きました(笑)

今度は3時に消えました。「またですか?仕事が進まないので勘弁してください。」と言ったら点きました(笑)

4時に申し訳なさそうに、点いたり消えたりしていたので、「消したら、ダメですよ。」と言ったら消えませんでした。(笑)お利口さんでした。

よくおねだりをされて「怖い体験談教えて!」と言われて話すと、「ぐちゃぐちゃな人が幽霊で出てきたらどうするんですか? 」「血だらけの人が幽霊で出てきたらどうするんですか?」と聞かれます。復元の現場は、ほとんどがそのような状態からスタートして、戻しています。だから、答えます。

「多分、どうしたんですか?って聞いてから、復元師だから、復元します。声をお掛けしている段階から、どのような順番で戻すか、どこから血が出ていて、どこが陥没していておもかげを無くしているのか、もう考えて復元をする順番を組み立てていると思いますよ。」

先月、岩手県の被災地沿岸の中学生に、復興教育授業をしました。先生方々の思いを伺い、生徒の皆さんと東日本大震災について色々一緒に考えました。

今日、事務所にその時の皆さんの感想文が届きました。ありがとうございました。拝読していると、素敵な感想文がありました。

「笹原さんの授業を聞きながら、私は自分の体験した東日本大震災を考えていました。被災地には幽霊が出ると言う話はたくさん存在していますので、私はそのことを考えていました。そうかぁ、生と死を組み込んで考えると、いろんな考え方があるんだなぁと思いました。復興教育授業の後、学校のみんなで泊まった宿に幽霊が出ると、噂がありました。きっとそこに居る事情があるのでしょうからと思えば、私は全く気にならず、怖くもありませんでした。」

幽霊の話ばかりをしているわけではないのですが(笑)、「死」には幽霊話しが実はつきものなのです。知りたいと思っているのに、そこを避けては話せないこともありますから、説明をしておく必要がある場合もあります。

簡単に言うと、人が「幽霊」って呼ぶときは、人ごとなんです。見ず知らずの他人に対しての表現です。本当に幽霊が出るとしましょうか、でもそれが自分の家族だったらどうでしょう。とっても嬉しいでしょう?会えて。そう考えれば、人ごとにはなりません。何らかの事情があるから、そこに居る。だったらそっとしておいてあげるのも、思いやりかもしれませんよ等々、話すことがあります。そういう質問もたくさん出ることがありますので。

なぜ答えるかと言えば、見えようと見えまいと、今を生きなければならないことは変わりません。きちんと普段の生活を送りたいと言う目的をお持ちであれば、答えますよ、ちゃんと。

よくあるのが、亡くなられた場所に幽霊が出ると噂が流れて、ご家族が落ち込んでいることがあり、ご家族の皆さんにお願いされて、ご家族の皆さんとその場所に行って、「帰りますよー」と声を掛けに行くこともあります。普通の生活の枠の外で起きていることが理由で、普通の生活が送れないこともあるものです。

ちなみに、復元納棺師の仕事をしてから少し調子が悪くても「具合悪い」と言わなくなりました。何故って、「取り憑かれたんじゃない?」ってすぐ言われるから。そんな訳、ないでしょ!(笑)そういうことを言わない人には、「具合悪い」と言います。

亡くなった人への誤解を解いたり、悪者にしないのも、私の仕事です。納棺が終わったからと言って、全てが終わるわけではありません。みんな一人一人の生き方があり、偲び方があるのです。オカルトをオカルトで終わらせない。それが私のポリシーです。(どんなポリシー⁉︎)

先日連絡をもらって、心配していたので会いに行って、お母さんを亡くした女の子が、納棺から三ヶ月後の日に、想い出話をしながら、ありったけの笑顔でこう言っていました。

「どうせみんな、ミトコンドリアだし!」いっぱい泣いて、目を腫らして、excellentな言葉でした。可愛くて大好き。お母さんが遺してくれた、最高の笑顔だね。また、お茶飲もうね!

このようにご遺族って、とんでもなく素敵なことを教えてくれるんです。たくさんの質問を、ありがとうございました。