『実習は、行きましたか?』
『はいっ!』
質問により、その内容により、みんなの表情が色々と変わり、あぁ、実習で深いご縁をいただいたんだなぁと感じながら、皆さんが出会った患者さんから何か大切なことを引き継いだような気持ちで、今日は過ごさせていただきました。
いつもは授業が終わってから、先生方々と少しお話をさせていただいて帰ってくるのですが、今日もとっても現場が立て込み、私も次の現場、次の現場へとつなぎで走っていました。
ご遺族が初めて見る現象で、お手当てを終えて説明を求められたこととして、腐敗網(腐敗初期に出る毛細血管の変色)が出ていたり、死斑(元気だった人に出る青から赤へ、紫から黒に変わっていく色)が出ていたり、皮下水泡(点滴を頑張った人が起こしやすい、下になっている背中などに出来る大きな水泡)が破れていたり、ご遺族が不安になっている現場に走り、お手当てをして体液を止め、変色を直し、臭いを消して表情を戻す。時間が限られていることと、あまりお待たせすると不安や悲しみが深くなるので、色んなことに気を付けながら進めます。
解決した後は、ご遺族の質問が多く出るので、それに答えていく時間を迎えます。不安を、安心に変える作業です。
『本当は触りたい。でも、こわい。』
状態が安定していないと、当然、誰もがそう言います。最初にそう言っていたご遺族も、
『寝てるみたい。』
『息してるんじゃない?』
お手当て後の故人に自然に触れて、話し掛けながら頬に手を当てたり、髪をとかしたり、自由に手直ししたりして、過ごされます。
『そういえば、全然寝てなかったけど・・・、眠たくなってきた。』
安心すると発生する眠気が、ご家族のお体を守ってくれます。人の体は、素晴らしい作りだなぁと、いつも感心します。故人の横に添い寝してみたりして、自由に最期の時間を過ごされます。
『靴下、2枚履いているんですか?』
玄関まで送ってくれたご遺族に聞かれ、『年を取ると、足腰冷えるもの』と答えると、
『年に関係なく、寒い時は、寒いですよ!』
と励ましてくれる子がいました。可愛いなぁ、故人といつも、そういう思いやりのある会話をしていたんだなぁって、癒してもらえるのも現場のステキなところだと思いました。
現場を終えて真っ暗な外へ出ると、今日は雨から、雪に変わっていました。通りで、昨日寒かったもんなぁと、思いながら、車に乗り込みました。
さて、明日も忙しい。頑張ります。