2016年2月20日

聖和学園短期大学講演

宮城県仙台市にある聖和学園短期大学の介護福祉科の皆さんと、地域の福祉に携わるお仕事をされている皆さんに向けて、お話しをさせていただきました。

午前中は、地域にもう1つある大学の介護福祉科の皆さんと事例検討会の発表をされていたそうです。私は午後の約2時間の講演を担当させていただきました。

私も普段はご遺族含め、色々な立ち位置の方々と福祉の話しを聞かせてもらったり、直接ご縁があったりすることも多くあります。みんなそれぞれの考え方があるのは、目の前の一人一人に向き合われているからだと思っています。福祉の世界にも、未来に向けて時代を担ってくれる若手の育成含め、課題がたくさんありますと、学長さんが教えてくださいました。

学生さん以外に、せっかくだからと一般席を用意したそうですが、すぐにいっぱいになり、たくさんの方をお断りしなければならなかったと、担当の先生方々が教えてくれました。実際に講演がスタートして、会場内に社会人の方も多かったように見えたので、けっこう頑張って席を作ってもらったのではないかと感じました。会場は、超満員でした。

後ろに座っていた学生さん方々と、ちょっと距離があったもので、『見えますか〜?』と声を掛けると、立ち上がって合図をしてくれる子たちも居て、可愛いなぁと思っていました。私もそんな、素直な時がありました(⁉︎)。過去の過ぎ去った、青春(今、青春のこと、青春とか言うかしら?)の中の話です。皆さん、現場の話しを泣いたり笑ったりしながら、一人一人の人生について、一生懸命聞いてくれました。ありがとうございました。

学長さんと、控え室で講演前と後のお話しが尽きず、元々行政に居られて福祉の開拓をされていたご経験と、お身内に司法試験に合格された司法関係の方が多く居られるとのことで、公開されていない部分にある司法の重要性について等々、現場の中にある日本の司法の凄さを語り合いました。

一例として例えば事件性のあるご遺体は『司法解剖』が行われる訳ですが、この場には『法医学』を専門とした、知識や経験の豊富な医師が執刀し、同時に担当刑事、担当検察官が立ち合い行われます。ご遺体はそのままを教えてくれて、嘘をつきません。そういうご遺体から読み取れる全てのことを司法のチームがご遺体から情報として、背景を知り、捜査を深めていきます。司法の世界から、故人の尊厳を守ると言う視点がある訳です。ご遺体が事件の証拠となる場合、DNA鑑定が必要な場合には、結果が出るまで通常では納棺や火葬が一週間〜10日後などになる場合があります。と言う内容が背景や状況として、復元の時間はセットになっています。なので、グリーフケアも、復元の現場は少し異なります。東日本大震災では、発生から長い安置所では3ヶ月間は、全国各地から法医学(者)の医師が警察官と安置所に詰めて、御尽力くださっていました。

学長さんは、行政にいた時に新規火葬場の立ち上げにも御尽力されたそうです。火葬場は、法の定めにより色々と取り決めがあります。火葬場では故人の体の大きさで火力調整をして、『小さな子どもたちも、ちゃんと骨を残してあげたい』との思いで、色々と奮闘されたそうです。

以前、子どもさんを亡くしたお父さんから連絡をもらったことがありました。いっぱい泣いて、いっぱい抱っこしてもらって、この子はお父さんとお母さんと、体のある最期の時間を過ごしました。

『笹原さーん!女房と、うちの子どもが空に上がって行く所を見送ろうと、火葬場の外に出て来たんだけど、火葬場に煙突がな〜い!!』

『そうなんですよ!新しい火葬場は、煙が出ない仕組みになってまーす!だけど、目には見えないけど、お空に上がっているはずだから、見送って下さ〜い!』

『りょうかーい!女房にも伝えて、もう少し外にいることにしまーす!』

火葬場も、人生の節目として存在している場になります。死の世界には、生きるための情報が実はたくさんあるんですと、今日も皆さんにお伝えしました。

人生の最後に携わる福祉のお仕事、求められること、疾患も色々と増えてきて、平均寿命から健康寿命と呼ばれることも増え、個々の考え方や希望の違いもあり、様々なことが求められるようになり、福祉の世界も大きく広がってきたと思います。

悲しいニュースになるような現場は、その行為が犯罪であり許せないものです。善悪の判断が出来る人になることは、とても大切なことです。善を選んだとき、悪を選んだときの先を予測する力を付けることもとても大切です。真っ直ぐに利用者さんの、お年寄りに向き合われている福祉のプロを私はたくさん知っています。プロの人たちに支えられ、生きている人たちもたくさん知っています。どんな仕事も要は『人』、人間力だと思います。背すじを伸ばし、心を正し、よくよく話し合い、価値観をすり合わせ、一番良い形を探すのは、どのような業種も共通するものだと思います。と言うお話しも含めて、今日はお伝えしました。皆さんにお会い出来たこと、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。