2016年2月28日

和歌山県新宮市で講習

現場での技術指導と、ご遺族のご希望に合わせた形に沿ったお別れのお手伝いのための、技術講習でした。

用意したテキストを1ページも開くことなく・・・。

講習を受けられる全員が、現場で活躍されていること、とにかく経験が豊富なため、現在までの現場での質問が次々と出て、特殊復元の質問を中心にお答えしていくと言う講習になりました。

皆さんから今まで独自で行ってきたことを伺い、感動の連続。出会えた方たちは、どれだけ支えられて来たことだろうと、技術と謙虚なグリーフケアのバランスに又、感動。

あまり話したことは無いことも、お話ししました。私には教えてくれる先生も居らず、私も全くの独学で歩んできました。とても孤独だっとき、ご縁をいただいた法医学の専門医から、答え合せをしてもらえるようになりました。その時に初めて先生に教えられた『グリーフケア』と言う言葉に出会います。そして、法医学の世界の悲しみや先生方々の使命感を教わりました。専門医が書いた法医学書を薦められ、その本が宝物になりました。そして今は、救命医、緩和ケア医、外科医、病理医、耳鼻科医、産婦人科医、小児科医の先生方々からも応援していただいて、体の仕組みについて現場後に答え合せをしてもらえるようになりました。専門医の先生方々に支えられて初めて、気が付いたことがありました。出来ないかもしれないと思ってしまうとき、誰のせいにも出来ないのが現場の厳しさです。出来ないかもしれないと思う気持ちは、結局私は、自分の弱さに負けそうになっていた。患者さんをずっと思い続けるお医者さんに支えていただけるという感謝の気持ちが、弱い自分の背中を押してくれる勇気につながること。病院からも司法からも引き継ぐ責任を、大事にしたいと思うようになりました。自分が現場で抱える悲嘆が、グリーフケアと同じ状況であったことに気が付きました。

だから講習中に出る質問の中にある、もっと出来た事があったのではないかという悲嘆、故人を思う熱意。ご遺族の気持ちに真剣に向き合う、真摯であり且つ底知れぬ情熱。その思いの中にある、揺るぎない軸。そして、チーム力。頭が下がる思いでした。誰のために何をするのか、的を得た質問に、こちらも真剣になりました。

1をお伝えすれば10を知り、それを更に育み、困難に向き合い開拓する力を持っている方々だと思います。悲嘆を知り、苦しい経験をし、踏ん張って来た人はみんなそう。傷付いた経験をしたことのある人は、支え方を知っていて、人を傷付けません。そういうチームの皆さんでした。本当にとてもステキなご縁をいただいたと思います。

何かに挑むことは、実はとても勇気の要ることです。でもその勇気の先には、誰かが笑顔になってくれて、雰囲気がガラッと変わる瞬間に出会えます。その雰囲気が、故人が家族に遺してくださったものだと私は思います。今回の講習も、その雰囲気を経験していただけました。技術は、故人の『いのち』が遺した人に、生きる意味を教えてくれて、生きることを支えてくれるきっかけになると思います。

三日間、お世話になりました。皆さまの益々のご活躍をご祈念申し上げます。ありがとうございました。応援しています!