2016年9月21日

山形県尾花沢病院グループ全体研修会

山形県尾花沢病院グループ全体研修会の講師として、16日にお邪魔しました。

200人弱と伺っておりましたが、地域の皆さんから参加リクエストもあったとのことで、300名を超える、地域の医療・介護職の皆さん、地域の皆さんが立ち見も出て、集まってくださっていました。と、講演終了後に伺って、一般の方には少し難しい話しもあったかな?と心配しつつも、講演終了後には皆さんにお声掛けいただいて、お話しできる時間もあって、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。

亡くなった方の表情の仕組みや直し方、触れ方、関わり方、臭いについてとその対処法、心の移行の仕組みについてなど、色々な内容でお伝えしました。以下、その一部です。

先日訪ねてきてくれたご遺族が、少しムッとしたことがあったと話してくれたのですが、

「落ち着きましたか?」

と言われて、

「・・・。(引っ越しとかじゃ、ないんだから!←心の声)」

って思ったんです!と、話してくれました。ご遺族に、絶対に言ってはいけない言葉というのが実はいくつもありますので、その内容についてもお話ししました。

無理に声を掛けるのではなく、「何か手伝うことがあれば、遠慮なく声を掛けてね。」と、伝えるのが、ベストなことも多くある中で、やっぱり心配をして、声を掛けてくれたと思うので、

「どんな意味だったんでしょうね?」

と、一緒に考える時間があります。ご遺族は、ちゃんと答えを持っていますので、それに従い、答えを見出していきます。そして、私の元から帰るときは、心の中に確実に亡き人が存在していることを確認されるので、満面の笑みで帰られます。もちろん、悲しみの波は誰にでもあり、一人ひとり違います。(後略)

「死んでくれてよかった」と言うご遺族が発する言葉からスタートする現場も、増えてきました。

でも、私の心は傷付きません。それは、その人の中のほんの一部だからです。その人の苦労や苦痛は、私には分かりません。その人の中にある、優しさや、思いやりがあるのは知っています。その気持ちをスタートの言葉よりもグンと前に引き出して、優しさのエリアを広げるのも、私の仕事だと思っています。人の中には、様々な感情があります。今、何からスタートしても、心の移行は経験している中では知っているし、そのプロセスと終点に大切な感情を持ってもらえればいいと、思っています。

私の中にも、色んな私がいます。プロとして、自分の感情をコントロールするのも、仕事をする上で、その大切な土台の一つです。

関わり方さえ間違えなければ、自分の感情を押し付けて相手を傷付けることも無いし、踏み込みすぎて迷惑を掛けることもありません。

苦しみの言葉としてスタートの言葉が出たのだとしたら、少しでも苦しみを体の外に出して、ステキな想い出に辿り着いて欲しい。そんな風に思いながら、限られた時間を過ごします。

「なんで、あんなこと言っちゃったんだろう。ごめんね。」

スタートの言葉が、優しさに変わる瞬間にも出逢います。人には、色んな感情があるから、自分の価値観だけで判断しないように、心掛けています。

また別の現場では、帰り際に声を掛けられました。

「お母さん、帰って来る?」

死の現場の中に生きている私の答えは、

「お盆とお彼岸には、絶対に帰って来るでしょ。それから、手を合わせた時に心の中に帰って来るよ。」

と答えると、

「やったー!」

と、私の前でジャンプして見せました。お母さんも、この子とずっと一緒に居たいと思うし、私がこの子のお母さんなら、そう答えて欲しいと思うかもしれない。今の子は、特にハイタッチが好きで、何十回もハイタッチを求めてくるので、可愛くて仕方がないです。そうやって、この子が誰かとつながれるまで、つながっていることも、大事にしています。

講演と、その後に声を掛けていただいたときに、そのようなお話しもさせていただきました。

旅立つ側も、送る側も、実はお互いを思っている。それは、今も変わらないのではないかと、思っています。

ステキな皆さんにお会い出来たご縁に、深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

彼岸を迎え、本当に肌寒くなってきました。いよいよ、晩秋に突入です。「暑さ寒さも彼岸まで」昔の人はよく言ったもので、あの暑さが嘘のような気温。本当にすごいなぁと感じてしまう、彼岸でした。さぁ、彼岸。大切な人が帰ってきているときですから、いい時間を過ごされますように・・・。私も、お一人お一人を想いながら偲びます。