2016年9月21日

秋田県立衛生看護学院講義

毎年伺っています、秋田県立衛生看護学院。春に卒業した新人看護師さんの、フォローアップ研修の講座の一コマを15日の日に担当させていただきました。

皆さんにお伝えした内容の一部を紹介します。

「挫折」の項目について。挫折は、アンテナをプレゼントしてくれます。挫折を経験すると、アンテナを立ててその答えを探す人生がスタートします。

アンテナに引っかかる情報が、挫折という嘆きの感情(深く傷付くこと)により、答えかもしれない情報に出会い、昇華される作業が始まります。それにより、違う視点から見ることを教えてくれたり、全体像があるんだよと教えてくれたり、

人生の大きな壁が自分の限界を教えてくれたとき、悩み考える→情報を収集する→情報を得る→相手の立ち位置や思いを知る→振り返り反省する→自分を責める→自分の立ち位置や求められることを知る→勉強したり訓練する→身に付ける→誰かの笑顔のきっかけを作れる→優しさを身に付ける。

プロセスを得たとき、昨日よりひと回りもふた回りも成長している自分に出会えるのかもしれません。

壁は、誰かと出逢わないと起きないもの。出会いは、自分の人生を大きく変えることがあります。誰かと出逢わないと、挫折は出来ません。挫折をしたからこそ、得る物は大きい。そして、その人が存在してくれていたことに、感謝する日を迎えるのかもしれません。

そうやって心を込められることへの感謝が生まれる。一つ一つに心を込められる人は、きちんと人とつながれる人になります。

挫折しない人なんて世の中に一人も居ないし、最初から何でもできる人なんて、居るわけない。みんな、人の見えないところで歯を食いしばり、ときには我慢し、努力して生きているものだと思います。そういう人が、真に人の悲しみを共感出来るし、見守る力を身に付け、人と心がつながれるのだと思います。

私も毎日、多くのご遺族とお話しをする時間をいただいていますが、大切な家族とのお別れから数日〜数ヶ月経過して、

「涙の種類が変わっていくよ。」

と、これまでの経過を教えてもらいます。泣いたり笑ったり、悔しかったり。みんなそうやって、亡き人を想い、関係性は生前と何も変わらないことをお守りにして、亡き人を生前と変わらない形で守り続け、想い出を大切に大切に胸にして生きています。

新人さんと言っても、現場のプロ。もっと言うなら、誰もが新人を経験します。だけど、患者さんにとっては、新人もベテランも目の前のプロ。ちゃんとそういうことを理解している、意識の高いみなさんでした。

泣いたり笑ったり、考えたり悩んだり、色々感情も忙しかったかもしれませんが、あっという間の5時間でした。

「頑張れる気がした!」「もっと心を込めて接して行きたい」「たくさん答えを見付けた」など、たくさんの感想をいただきました。

私の立ち位置は、きっかけしか作れません。皆さんの笑顔を引き出してくれたのは、看護学校の先生方が、このお勉強の時間を作ってくれたことと、皆さんが出逢った患者さんとの想い出が、皆さん一人ひとりの笑顔を引き出してくれたのだと思います。

色んな人に支えられ、若手は育ちます。立派に成長したとき、支えられていたことに気が付くものです。(笑)支えられた経験は、次の世代に引き継いで欲しいと、老婆心ながら願うのでありました。

これだけ長くこの仕事をさせてもらっていると、あのとき子どもだった子たちが医療の道に進むことも多くあります。寂しくなると話に来ていた子たちが、少しずつ大人になっていく姿を見せてもらって、亡き親御さんの喜ぶ顔に出会えている気がしています。

人は二度死ぬと言われています。
一度目は生命活動を終えたとき。
二度目は、人の記憶から失われたとき。

私たち死に携わる人は、専門職とか遺族とかの垣根を越えて、二度目を起こしてはいけない、そういう立ち位置なんだと思います。

と、皆さんにお話ししました。皆さんの益々の御活躍を、応援しています。