2016年9月27日

怖いはなしシリーズ18

火の玉』

火葬
《いま》
現代の火葬は、火葬場の強い火力で短い時間でお骨になります。その温度はおおよそ800℃〜1000℃弱。体重や身長、体内水分量を基準に計算をして火力を調整し、お骨になるまでの時間が決められるそうです。お骨になり、少し冷却をして収骨を迎えるまで、おおよそ80分〜120分。時間はその人により、異なります。

炉のスイッチを押すのを、地域によっては喪主や施主にお願いする火葬場もあるそうです。断ることも出来ます。その場合は、火葬場の職員や葬儀担当が代理するそうです。

《むかし》
昔は、薪(まき)です。3日〜7日かけて交代で番を決めて、亡骸を火葬したそうです。

人が焼けるとき関節が燃えるので、手や足が動いているように見えたり、ぐっと上半身が起き上がったりしたことがあったそうです。

「生き返った」と思って、「助けて〜!」と叫びながら逃げ出した人たちも大勢いたとか。

納棺のときに、むかしの体験談を話してくれるお年寄りが時々います。

「俺ね、火葬の役をやってんだよ、昔。今はね、強い火力で短時間で骨にしてくれるけど、昔はね、そうじゃなかった。何日もかけて、みんなで交代で番を決めて焼いたんだよ。大変だった。雨の日や、湿度の高い日は全然焼けない。全然焼けないから、途中でやめたことある。半生だったんだけどね。」

私「その後、どうしたんですか?」

お年寄り「え?みんなで相談してさ、よっこらせと亡骸を運んで、・・・埋めた!」

私「へぇ〜!大変だったでしょ?」

お年寄り「あんたは、この大変さをわかってくれるだろ!!!!!!」

私「はい。すごく、わかります。」

お年寄り「大切な人が亡くなったことは、とても悲しかった。でも焼き場の当番として、全然焼けないときが、もっと辛かった。その人の家族に見せないように、夜の夜中にみんなで静かに埋めたもんだよ。

だけどね、夜中の墓場は、火の玉がよく飛んでいたもんだ。オレンジや青の丸い火の玉が、暗い墓場をあっちへフラフラ、こっちへフラフラと飛んでいた。

俺たちにからんでくるもんだから、「今は忙しいから」と言うと、

火の玉の中に顔があるんだけど、悲しそうな顔をして去って行ったよ。

でも火の玉が出ると、少し明るくなるから助かると言えば、助かったよ。(笑)」

人の骨には、「リン」という成分があり、それが火の玉を作っている理由なのだそうです。動物の亡骸からも、リンがあるので、火の玉は出ます。

東日本大震災のときも、気温が高くなって来た時期から、夜に火の玉が目撃されるようになっていました。

「火の玉がたくさんあって、怖いというよりも、とてもキレイな光景だった。」

一時期から、火の玉を見たと話してくれた被災者の人たちが増えていきました。

今の日本は人の手で何日もかけて火葬されることもなく、土葬も一部地域を除いては、ありません。

しっかり火葬してもらえる時代になったから、墓場で火の玉を目撃することも、まず無くなりました。

確かに私の幼少の頃は、何度か火の玉を見たことがありました・・・。やはり火の玉を目撃する場所は、夜の古〜い墓場・・・。

「あっ!火の玉!」

なぁんてことが、ありました。キレイなオレンジ色の玉が、低い木のてっぺんより少し下の位置に、フラフラ、フラフラと飛んでいました。

以下、待ち伏せしていると、けっこう出会える火の玉に対して、幼少の頃にチャレンジした内容です。

虫あみで捕まえようとしましたが、スルッとすり抜けて、捕まえることは出来ませんでした。

その時、火の玉は燃えているように見えていたので(だから火の玉と呼ばれるのだと思うが)、虫あみも燃えたかと思ったら、全く燃えていませんでした。

火の玉の速さですが、基本はフラフラ程度のゆっくりですが、何を思ったのか、とんでもなく速く、ものすごいスピードで動くことがあります。

木や壁などの、物にぶつかって戻って来たり、

時には、ものすごい速さで、こちらに向かってくることもありました。もちろん、叫んで逃げました。

だけど今は、本当に火の玉は見なくなりました・・・。

誰かに会いたくて、飛んでいるのかな?と今は、お一人おひとりの人生の最期にご縁をいただいて、そう思うようになりました。

「むかしは火の玉が出たから、墓参りも熱心で、盛んだったのかもしれないね。亡くなった人が鎮まりますようにって、拝んだものだもの。」

と、納棺の現場でお年寄りが言っていました。確かに、そうかもしれないな、と私も思いました。

「だとしたら、現代も、遠慮なく火の玉は出て良いんじゃないか?」

と、先日みんな(大切な人を亡くした経験のある人たち)で話し合ったところでした。

・・・だがしかし!!その火の玉の中に「顔」が出る理由、その「顔」が表現する表情については、未だ解明されていません。

どんと晴れ。