2016年9月25日

末期の水

そのむかし、死に際に行われていた「末期の水」は、亡くなるご本人が愛用していた湯飲みやお茶碗などに水を入れ、「喉が渇いた」と言っているご本人の口元を濡らし(ごくごく飲めないので)、布に含ませた水を数滴、家族で含ませたという習わしがあります。これも、お釈迦様の入滅時に「喉が渇いた」と言ったと伝えられる話しに習っているという説があります。

現代では、看取り後に家族で故人の好きだった飲みものを、口に付ける形を取ることも多くあります。

昨日伺った納棺では、何度も私の講演を聞いてくださっているご家族で、「笹原さんの講演で聞いた、末期の水をしました!」と、教えてくれました。

「おじいちゃんは〇〇(←飲み物)が大好きだったので、最期何も口にしなくなったので、家族で相談して〇〇を用意して、布に染み込ませた〇〇を、口元に持っていってみました・・・

そうしたら!

チューチュー、チューチュー

吸い出して(泣き笑)、布ごと口に入れたので、みんなで

「わぁー!まずい!まずい!」

「わぁー!口から出して!」

なぁんて、動けなくなったじいちゃんが動き出したことで、大騒ぎでした。(笑)みんなで最期まで、笑って過ごしていました。」

ステキなお話しでした。ブログでご紹介する許可をいただいて、現場から帰ってきました。

よく働いた手、
よく笑った証拠の笑いジワ、
なんとも言えない温もりのある微笑み、
お日さまの下で働いた人の特徴である肌、
お世話になりましたと、
沢山の方が訪ねて来られて、

「年を取るのも、悪くないでしょ?」と、故人に教えてもらった気がした、納棺でした。