2015年9月28日

日総研さん東京セミナー

27日は日総研さん「エンゼルケアとグリーフケア」東京セミナーでした。10時〜16時まで、定員いっぱいになった60名の医療、介護職の皆さんと一緒に、現場に起こる・求められる様々な課題について、考えながら進めました。

今日は特に、悲しみの表現方法などが中心になっていき、技術と環境作りを基本としたかかわりを考えていくための質問も多く、一つ一つ現場からお伝えしました。

「技術はどこで習ったのですか?」と言う質問も多くいただきました。技術を教えてくれる人は誰も居らず、何処かの学校で習った経験も全く無く、初期の頃は一人で悩みながら、独学で現場を積み重ねてきました。私の技術を育ててくれたのは、現場の中にある悲嘆だったと思います。ご遺族がお話ししてくださる想い出を伺い、心動かされ、精一杯尽くさせていただいた積み重ねでした。復元の評価は、ご遺族がします。こちらが良いと思っても、ご遺族が良しとしないと成立しません。現場はそういう厳しさがいつも隣り合わせです。今は復元を応援してくださる医師の皆さんに、技術の答え合わせをしてもらえます。

「現場に入るときの気持ちの持ち方」の質問も色々ありました。壁に当たるのは、現場に出れば毎回のことですが、「世界にたった一人しかいない人を前にしている」ので、当然のことだと思えるようになりました。もちろん毎回の現場では相当なプレッシャーもあるし、現場に入る前には何かに落ち込んでいても、モチベーション(苦手だったので相当訓練しました)を上げてプロのスイッチをオンにする準備もします。現場で流れの組み立てをより早く行うために、自分をわざと緊張させてから、緊張感を一定に保ち、神経を張り詰めて故人とご遺族に気持ちを集中させていきます。難しい技術のときは、二度も戻らない時間であることを意識して、自分を追い込みます。今は復元納棺にご縁をいただいたご遺族の皆さんが、復元を応援してくださって、新たなご遺族に対しても支えてもらっています。とても、心強いです。

「笹原さんが世の中で一番怖いものはなんですか。」脅されたわけでもなんでもありませんが、その存在感自体が何かしらの恐ろしさをかもし出す、体重計です。

等々、セミナー中とその後のサイン会と、多くの質問をありがとうございました。

今日は東京近郊の島からも船に乗り、参加してくださった方も居ました。島では、生活に密着しているから、何でも頼られる存在である看護師さん。大切な島民の皆さんのことをお話ししてくださる普段の動きを伺いながら、とっても頼もしいなと思いました。魚介類が豊富で、とっても美味しいそうですよ。「助け合わないと生きていけない地域の魅力」、人の温もりが生活の中にある島の生活のお話し、とっても素敵でした。

グリーフケアと一言で言っても、立ち位置や職種により、関わり方が異なります。関わり方が異なるのは、求められることが異なるからです。切れている糸を丁寧に結ぶ作業を行うことで、異なっていても「つながる」ことが出来ると私は思っています。つながることが出来れば、心が孤独になる人はいなくなります。

お別れのお手伝いの現場からお伝えした今日の情報が、皆さんの引き出しを一つでも多く増やすことにつながり、現場で誰かの安心と笑顔につなげていただいて、お役に立てれば幸いです。

たくさんの皆さんにお集まりいただき、ありがとうございました。お疲れさまでした。