2013年6月19日

お空の上から来たのかな?

先日、獅子舞が、被災地公演に来てくれた時の出来ごとです。三カ所目の、安渡小学校で獅子舞の公演中に、子ども夢ハウスの吉山くんが走って夢ハウスに行きました。何かあったのかな?と思いながら、しばらくすると小学校一年生の男の子を連れて走って戻って来ました。吉山くんと、その小さな男の子は、「終わっちゃった⁉」と言う顔をしました。獅子舞保存会の皆さんが後片づけを始めていましたが、吉山くんが熱心に獅子舞の皆さんに何かをお願いしていました。そして、なんと、驚くことに彼だけの為に公演が始まりました。

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彼は真剣な眼差しで、自分の目の前で舞う、獅子舞をずっと目を離さずに見つめます。「大抵の子どもは怖いと泣くけど、近くで見ていて、怖くないのかな?」この写真を撮りながら、私はそう思っていました。

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勇壮な獅子舞の動きを、一言も言葉を発しないまま、彼はずっと獅子舞から目を離さずに見ていました。

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頭を噛んでもらって、彼はとても御満悦。それでも、また獅子舞から目を離しません。

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彼にだけの獅子舞公演が終わり、獅子舞保存会の皆さんが、後片づけに入った時に、彼が机の上に置かれた獅子頭の所に来ました。彼は獅子頭の耳に小さな手を当てて、こそこそ話で小さな声で話し掛けました。「神様あのね、神様はお父さんの所から来たの?」彼の写真を撮っていた私の目からは、涙がポロポロ流れていました。「そっかぁ、そういう気持ちで、獅子舞を見ていたんだなぁ。お父さんのお友達みたいに思っていたのかなぁ?そっかぁ、それなら、怖いわけないよなぁ。」民俗芸能の由来は、その土地に伝わる「いのち」について、その時代に何かしらの飢えや災害など何かがあった時に生まれているのだと、お年寄りや納棺の時間に、よく教えてもらいます。獅子舞を守り抜いて来たお空の上の先人もきっと、何より彼の言葉に、守り抜いて伝えて来て良かったと思われたのではないでしょうか。昔からの伝承の中に、その時代を駆け抜けて来た沢山の方々の思いが、民俗芸能には込められているんだなぁと、また、小さい彼に、私は教えられました。「お兄ちゃん〜‼」吉山くんの所に、彼はまた、全力疾走で走って行きました。吉山くんが獅子舞保存会の皆さんに頭を下げてお願いしていた姿は、彼もちゃんと吉山くんの背中を見ていました。東日本大震災でお父さんを亡くし、子ども夢ハウスで目一杯体を動かして遊びながら様々なことを彼も学びます。そして、悪戦苦闘しながらも、一人一人の気持ちに寄り添う吉山くんには、振り向けばいつも藤原先生が居るから、吉山お兄ちゃんは、今日も頑張っています!

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「何処に寄付したらいいの?」と、お問い合わせも多いので、ご案内させていただきます。皆様方のご寄付により、子ども夢ハウスがあります。本当にありがとうございますm(_ _)mこれからも、宜しくお願い致します。