2013年10月25日

故人が遺してくれた知恵

納棺の時間に話題になることは、沢山ある。故人が遺してくれた名言として、ご家族がお話しされていたこと。「爺ちゃんが一人で家で留守番をしていた時に、家に営業の電話がかかってきたそうなんです。「大きな声で言ってもらわんと聞こえん‼最近、耳が遠くてよぉ〜」って言ったら、何回か説明してくれたらしいですが、結局爺ちゃんが聞き取れない。ガチャ切りされたらしいです(笑)爺ちゃんがカッコ良く見えた瞬間でした。」と、お孫さん。「本当は聞こえてた(笑)」と、お爺さんが言っていたと、オチがあった。「さっすがぁ〜」とみんなで感心、感心。「爺ちゃん、いらないって言うのも、悪いかなぁ。と思ったそうです。」とお年寄りならではの優しさを感じました。オレオレ詐欺の電話がかかってきたという別のお家では、こちらもまたお爺ちゃん。「あんたの日本語がおかしい」と、電話から聞こえる日本語を幾つも訂正して、こちらも先方に電話を切られ、終了したそうな、オレオレ詐欺を撃退した生前中学校の国語の先生。それからまたまた、オレオレ詐欺を撃退した、故人。「あ、僕ね前に刑事だったんだよ。」と明るく言ったら電話が来れたそうだ。もちろんその後に警察に通報したらしいです。そして又、別のお家では、パソコンの営業電話に、「あ⁉おら、そんな旨そうなもの、食ったことねぇ!」と言ったら電話が切れたという逸話をお持ちの高齢の女性。別のお家では、カブトムシを採って来たと喜んで持って帰って来てくれたことがあったというお孫さんが、亡くなったおばあちゃんの手を握り、「おばあちゃん、あれは、カミキリムシだよ。僕は良いけど、あちらの世界で間違っちゃダメだよ‼あぁ、やっと言えた〜‼」と長年の思いを伝えたお孫さん。(私の幼少の頃、私のばっちゃんも間違えていた)生きることって、人生の引き出しを増やすことなのかもしれない。お年寄りの知恵に触れて、過去を振り返り、生きて来られた道から、生き抜く力を見付け、遺された私達が、自分の引き出しにしまっていく作業。納棺の時間には、知恵がいっぱい、いただけることも多い。