2014年9月1日

歯ブラシ

悲しみの感情も、
価値観も、
過ごした時間も、
大切と思えることも、
みんな一人一人違います。

おじいちゃんを亡くしたお孫さんが、
教えてくださった、とても素敵なお話があります。
もちろん、Blogに御紹介する、
ご本人の許可はいつも通りいただきました。

納棺終了後に私の車まで荷物を運んで下さったお孫さん。

孫「僕、すごく、じいちゃんに可愛がられていたなと、
思いました。あ、そうかって、気が付いた時に、
価値観って高まるものですよね(笑)。」

小さい頃、おじいちゃんのお誕生日に、
歯ブラシを買ってプレゼントしたのだそうです。
学校の歯磨き週間を頑張っていたお孫さん、
あんまり歯磨きが好きではなかったけれど、
おじいちゃんの誕生日プレゼントに歯ブラシを選び、
おじいちゃんにも歯の磨き方を教えてあげたそうです。
お孫さんはおじちゃんに、おこずかいから、ちょっと値段の張る
豚毛の歯ブラシをプレゼントしたのだそうです。

大好きなおじちゃんが亡くなった晩に、
お母さんから教えてもらったそうです。

「可愛い孫から、初めてプレゼントをしてもらった歯ブラシ、
「どうしたら良いか」とお母さんが、おじいちゃんから相談を受けた。」と。
「「総入れ歯だから、歯ブラシが必要ないけれど、それを孫に言えない」と。
だから、総入れ歯を入れたまま、歯ブラシを一緒にしたら喜ぶよ。」って、
お母さん、おじいちゃんに提案したそうです。

「僕の思い出の中には、おじいちゃんと一緒にニコニコしながら、
歯磨きをした想い出が鮮明にあって(笑)、でも、総入れ歯であること、
知っていたけど、気が付きませんでした。プレゼントするなら、
入れ歯洗浄剤ですよね。(笑)僕も年を取ったら、
じいちゃんみたいな、じいちゃんになりたいとおもいました。」

と、教えてくれました。

死は終わりではなくて、
遺してもらえた大切なことと向き合ったとぎ、
とっても胸が温かくなることに出会えることもある。
ずっと心の中に一緒に生きているって、
想い出が自分を支えてくれるって、
きっとそういうことなのかなと、
教えていただいた、素敵な時間でした。