2014年5月29日

「きれい」の違い

「きれいじゃん!」
「それは、きれいとは言わん!」
納棺の現場は、喪服でなくても良い。
葬儀は、喪服。
学生は、制服が一般的。
おばあちゃんの葬儀に着る制服の、
靴下をお孫さんが履こうとしていた。
おじいちゃんが言った。
「そんな泥の付いた、
汚い靴下を履くな!」
お孫さんが言った。
「きれいだよ!」
おじいちゃんは、
「この靴下がきれいだから、
これを履きなさい!」
と言った。
私は、「・・・⁇」少し様子を伺った。
「どう思いますか?」
おじいちゃんが私に聞いたから、
答えた。
「「きれい」と言う共通の言葉から、
少し考えてみました。
おじいちゃんは、「白い靴下を履け」
と言う、真っ白=きれいの意味で、
「きれい」をお話しされていました。
お孫さんは、
洗濯してある=きれい
で、おはなしされているようです。
「きれい」の価値観が違うだけで、
どちらも間違った意見は言っていないと
思いますよ。(ニッコリ)」
こういうことは、実はよくある。
言葉は共通の言葉を使っても、
意味が、価値観が異なることがある。
生きることは、
いつだって学びの場で、
お孫さんにとっては、
経験豊富な、
おじいちゃんと言う師が居る。
お別れに来てくれた、
弔問の方々をおもてなしする、
その気持ちがあるから、
おばあちゃんを見送る、
大切な時間だから、
と、色んな意味が含まれる中で、
「白い靴下を履いてね」と、
おじいちゃんが言った。
「正装」と言う意味だったんだと思う。
お孫さんと少し話して、
お孫さんも「そっかぁ。」と、納得。
私の性格上、
説得はしない。
でも、心から納得していただけるように、
現場の中で常に、心掛ける。
気持ち良く、
大切な人を見送ってもらえるように。
それが、私の仕事だと思うから。