2014年5月8日

何を遺してもらったのかな?

一件一件の納棺の時間が、心に残る。
今日も、そうだった。
少し肌寒くなった夕方の納棺。
到着して、故人が安置されているお部屋に
案内していただいた。
マッサージを中心に、
表情を戻させていただいた。
「おじいちゃん!」
と、お孫さん七人が集まった。
髪をとかしたり、
お顔を拭いたり、
質問がたくさん出たので、
一つずつ答えた。
みんな、おじいちゃんを
心配している内容ばかり。
子どもだって、精一杯、
一生懸命心配している。
可愛いなぁ。と、思った。
おじいちゃんとの想い出を、
一人一人が丁寧に教えてくれた。
「大好きだった。」と、
全員が教えてくれた。
「今は?」と聞くと、
「今も、大好き!」と、
みんな元気良く答えてくれた。
とっても、とっても、嬉しかった。
棺に安置して、蓋を閉める時
大声で泣いた子が居た。
「どうしても淋しくなったら、
大人の人に手伝ってもらって、
こうやって触って良いんだよ。」と、
気を付けることを数点添えて、伝えた。
葬儀担当さんが、
お孫さんの気持を汲んでくれた。
「あぁ、良かった。」と、
思った瞬間があった。
「これから、おじいちゃんの応援、
どうやったら良い?」
お孫さんたちが、真剣に聞いてくれた。
そう、死を迎たから、
終わりって訳じゃない。
遺された人には、
まだまだ、ミッションがある。
たくさん、やれることがある。
たくさん、することがある。
一生懸命、応援しなくちゃね。
そこに気が付いて、偉いぞ!
と、思った私。
「とても良い質問だね。
この後お会いする、
宗教者の方に、
「教えてください!」って、
ちゃんとお願いして、
大切なこと、教えてもらってね。」
お孫さんたちが元気良く、
「はい!」と答えた。
宗教、宗旨により異なることもある。
ここは、
大切な死生観を培い、養う時間。
納棺師が、
勝手に口を出してはいけないエリア。
ちゃんと、
そのお家に合った死生観がある。
だから、ここは、
宗教者の方につなげてくださる、
葬儀担当さんに
宜しくお願いします!と
バトンタッチ。
子どもさん達だけで、
声を掛けられないことがあるから。
そして、後半、ずっと中心核で
納棺を手伝ってくれた子が言った。
「私の名前、
おじいちゃんが付けてくれたの。」
「何て言うお名前?」
「◯◯!」
「わぁ、素敵なお名前ね!」
「うん!
でも、死んじゃったから、
名前の意味が分からない。
聞きたかったなぁ。」
答えをすぐ知るのも、良い。
でも、
「おじいちゃんが、どんな意味で
自分の名前を付けてくれたのかな?」
って、ずっと考えて、
調べて、当てはめて、思い続けるのも、
とても良い。
だって、そこにはいつも、
自分を思い、考えてくれた
おじいちゃんの愛情が込められた
たくさんの答えに出会い、
何より、
大好きなおじいちゃんの存在が、
いつも一緒だから。
私が、「お名前、宝物だね!」
と言うと、彼女、
「うん、ずっと、宝物!」
と答えてくれた。
おじいちゃんが遺してくれたものは、
とても、たくさんあったね。
納棺の時間に、
時々、涙がこぼれたね。
限られた火葬までの時間、
大切に過ごしてもらえますように。
お孫さんたち7人が
おじいちゃんに手を尽くしてくれた時間
その時間を見守ってくださった
皆さんに、感謝します。