2014年6月10日

旅支度

被災地の納棺に伺うと、
仮設住宅に住んでいる方、
家が残っている在宅の方、
そのそれぞれの状況の中で、
今まで相談に乗ってくれたり、
支えてくれた人が急に居なくなったことでの、
慣れない生活と、
「こんな時は・・・」と度々思う、
過去を、大切な人を思い出す時間と共に
未だ戸惑いの連続。
色々お話ししたり、
津波で家、家族を亡くした思いを
目一杯お話ししてくださる方々が
沢山いらっしゃいます。
大切な人を亡くした時、
自分の経験もグンと蘇ってくるものです。
気持ちをどう持ったら良いかな、
大人も子供たちも、
みんな、そう思いながら生きています。
「気持ちが揺らいでいること
を悟られたくなくて、
平気な振りをしていたら、
相当違和感があったみたいで結局、
「変だよ。」と言われて、
自分でも頑張った分ガッカリした。(笑)」と、
お話をしてくださる方がいらっしゃいました。
でも、きっと人に話すことで、
なんとなく気持ちがまとまってみたり、
「あ、自分はそう思っていたんだな!」
と、新たな自分に出逢ってみたり、
色んな発見があるかと思います。
納棺の時間の子どもたちも、
思ったことを一生懸命話して、
とても愛おしい。
亡くなられたご本人がきっと、
今のこの子の一生懸命な姿を、
見たくていらっしゃるのではないかと、
そう思いながら、
子どもたちの話を聞かせていただきます。
年齢に関係なく、
大切な家族を亡くすことは、
人生を大きく変える、
生活も大きく変わる、
だから、自分のペースになるまで、
本当に大変なんです。
自分のペースを掴むために、
色んな人に出逢い、
時に戒められ、
時に癒されて、
生きるための知恵や情報をもらい、
みんな、頑張って生きてます。
心の芯が強い方は、
亡き人が心の中に居る人。
共に生きるって、
きっと、とっても素敵なことなんだと、
私は現場で学ばせていただきます。
良い想い出も、
良くないと思える想い出も、
全部想い出になる時に、
人は強くなる瞬間があります。
すごいなぁ、
人の底力を見せてもらいます。
納棺は亡くなった家族に、
遺された家族が宗派により、
「旅支度」をする時間。
大切な家族の死から、
生きることへの道を探しながら。
本当は遺された家族の旅も今から
始まるのかもしれないんだと、
そう感じると、
私も、気持ちを引き締める時間です。
悲しみを知って居る人に、
悪い人は居ない。
やっぱりそう思いながら、走っています。