お二人の、
山あり谷ありの人生の歴史。
ご夫婦の、お別れの時。
「どうして自分を置いて行くの?」
と、故人に話し掛けられる方は多い。
私の現場は大人はもちろん、
子どもさんたちの参加も多く、
お孫さんやひ孫さんと、
旅支度や私服のスーツ等を、
お着せすることも。
故人の手を握った瞬間、
皆さんそれぞれの表現で、
今の時間を過ごされます。
多く「想い出」と言う過去に、
帰ることの多い納棺の時間は、
様々なことがたくさん起こります。
そして御遺族が知りたいことが
多くなるのも、
納棺の特徴かもしれません。
勝手に踏み込んではいけない、
宗教の世界。
宗教をとても大切にされる御遺族が
多いからこそ、
勝手にあれこれは、話しません。
「御住職に伺ってみてくださいね。」
等と御提案します。
旅支度も宗旨の違いがあり、
お別れの形も違い、
大切にしている死生観も違う。
しきたりや、
伝統を重んじながら、
「死」を感じて、
向き合う時間を大切にしながら。
「お寺さんがもうすぐ来て下さるよ。」
頭を撫でて、頬に手を当てて、
故人に話し掛けられています。
「どうして置いて行くの?」
誰もが持ち得る感情を前に、
大切なことを教えていただきながら、
猛暑の中で納棺に走り続けていました。
明日も、暑そう。頑張ります。