2013年7月19日

「福島県は、311のあの日のままの場所が今でもある。」

昨日の納棺の後にご遺族に教えていただいた、「福島県は、311のあの日からの、あのままの場所がある。」同じ日に、別々の場所で、三人の方から教えていただいた。納棺に伺うと、被災者の方の参加も、実に多い。故人が被災者の方もいらっしゃる。被災地の沿岸も、元々私たちの納棺エリア。震災前と、後では町並みもみなさんの心情も、死生観も随分変わった。でも、守り続ける伝統も残っている。「震災前は、みんなで仏衣を縫って仕上げていたんだけどね。」と、納棺の時間に教えて下さる女性陣の皆さん。確かに、震災前の沿岸納棺では、手縫いの仏衣も多かった。「もう、着せられないのかな・・・。手縫いの仏衣。」少し寂しい気持ちになって、心の中で思いながら、震災前の現場を思い出していました。手縫いの仏衣は、着せるのが難しい。何故かと言うと、通常の縫い物は玉結びをして、糸や布がほつれないように仕上げるけれど、亡くなった方のために、地域の特にお年寄りが中心になって、子どもも含めた女性陣が、ひと針ひと針交代で、その人の人生を語りながら、その人を思い、みんなで偲んで仕上げた仏衣の最後に玉結びはしない。だから死後変化を解決して、着せ方を工夫しないと、せっかく皆さんで縫った仏衣がバラバラになってしまう。だから、ものすごく神経を集中させる。お年寄りが教えてくれた。「死を迎えても、亡き大切な人との縁は終わらない。だから、ずっと続く縁だから、結びは作らないんだよ。」地域によっても、宗旨によっても、様々だとおもいますが、そういう伝統もあるのも確かです。特に、ハサミを使うと怒る地域、嫌がる地域も多い。それは、「縁が切れてしまうから」と言う理由。だから、参加型納棺を始めてからの私の納棺では、故人に対しての着せの時には、ハサミは絶対に使わない。そんな風に、ご家族が大切にされていること、地域で大切にしていることを守りながら、納棺に伺っています。被災地の人達はみんな、他の被災地の心配もされます。色んな話を教えていただいて、そして、「福島県の今を、ご案内したい。」と声を掛けていただいて、福島県に、行くことに決めたのは昨日。この目で確かめて、考えたいことも山ほどある。岩手県にも、福島県の方が沢山住まわれているから、こそ。8月に、行こうかと計画中です。又、この場をお借りして報告出来ればと思っています。