2013年7月19日

「大変だ、地獄に行くかもしれない‼」

納棺の時間に、私に何度も耳打ちして話し掛けてくれる子どもさんが居ました。納棺が終わって、再度棺の蓋を開けて、その子と故人を挟んで、お話しをしました。「ひいおばあちゃんが、地獄へ行くかもしれない‼」と、とても心配するひ孫さん。「どうして、そう思うの?」と聞くと、「あのね、ひいおばあちゃんが言ったの。「お前のことをとても愛してるから、お前が悪いことをしたら、代わりにひいおばあちゃんが、地獄へ行ってやるからな。」って。だから、ひいおばあちゃんが地獄へ行くかもしれない‼」と。とても焦っている様子。「地獄って、どんな所なの?」何を、どんな風に思っているのか、価値観を擦りわせないとわからないことがあるので、聞いてみた。「とにかく、暗くて、怖くて、鬼が居て、大変な所なんだよ‼」ジェスチャー入りで答えてくれた。「うわぁ、怖そうな所〜‼」と、ちょっと大げさに答えた後、「そうかぁ、分かったよ。じゃ、先ず、お線香を上げて、手を合わせて、ご先祖さんに「ひいおばあちゃんが、とにかく地獄へ行かないように助けて守って下さい。」と、頼んでみようか?」と聞いてまた。「そうしよう、そうしよう‼」とひ孫さんが言って、私と二人で手を合わせた後で、「ところで、何を悪いことをしたの?」と、聞いてみた。すると彼、「ん⁉ん〜、あれ?わかんない。」って。そこに居た大人の人達、大爆笑。「ひいおばあちゃんがね、本当にやんちゃだから、この子ね。だから、いつも地獄の話ばかりしてたの(笑)」と、お母さん。「極楽のお話は?」と私。「全くしてないと思う(笑)」と、お母さん。「あらら、じゃ、ご住職に伺って、教えていただいたら、宜しいかもしれませんね。」と提案。「あ、そうね。でも、この子に必要かしら?(笑)」と、お母さん。「今頃、阿弥陀さんに、美味しいお茶を淹れて差し上げてるんじゃない?」と、おばあちゃん。彼、不思議そうな顔で、大人の会話を眺めていました。本家さんのおじいちゃんが、「極楽っていうのはよ、地獄もよ、自分の心のことを言うこともあるわけだから、今はよ、この子の気持ちを極楽にしてやんねえと。あのよぉ、極楽って言うのはよ、阿弥陀様が居て、光がいっぱいあるれている世界でよ、ひいばぁちゃんは、そこに居るよ。大丈夫だ。みんなでこうやって送るんだから、大丈夫だ。でも、手を合わすのを忘れたら、光が無くなってしまうから、手はいつも合わせろよ。分からなくなったら、じいちゃんの所さ来いな。」この、説得力のあるお話。いやぁ、お年寄りは、やっぱりすごいと思いました。今日は、ご住職に「極楽」を教えてもらえる葬儀の日。彼、大人に見守られながら、正に、今を生きる。どんな大人になるのかな?可愛い子でした。会えて良かったなぁ。と、おばちゃんの私は思うのでした。どんと晴れ。追伸、詳しい地獄と極楽のお話は、お坊さんに教えていただくのが一番‼お近くのお寺までどうぞ。