2013年7月9日

迎え火、送り火

「お盆が待ち遠しい」納棺が終わり、そう言われるご家族も多い時期に入って来ました。日本には、ご先祖と亡き大切な人を思うお盆やお彼岸などの日本の伝統がとても強く残っています。「迎え火と送り火」は、遺された家族が又はご先祖を思う私達子孫が、お盆の日に合わせて行う地域の伝統などの行事の一つです。仏壇にお供えとお花、キュウリの馬とナスビの牛を準備して、玄関前で「迎え火」を家族が全員揃って手を合わせ、ご先祖の帰りを待つ行事を行っていました。今でも、ここら辺の地域では玄関前で「迎え火、送り火」を行っていて、お盆の時期の納棺の帰り道には、夕方になると町が幻想的に一変します。それは、本当に見事な風景です。「迎え火と送り火」に使う物は、木をくべたりして、松の種類の乾燥させた物を少量燃やすと言う地域がこの辺は多くありますが、何を燃やすかは地域により、多少異なります。8月12日の夕方に迎え火。15日か16日に送り火が行われます。仏壇に供える「キュウリの馬」は、割り箸や爪楊枝などで足や首を作ります。「馬に乗って、急いで早く帰って来て欲しい。」待つ側の、そういう思いが込められている。と、昔はよく聞きました。そして、「ナスビの牛」も、爪楊枝などで足を作ります。帰る時には、ゆっくりと帰って欲しい。そして、持たせたい物を持たせられるように、牛に積んで、との思いを込めて家族で作る物でした。ちなみに、岩手県で著名な「河童」ですが、この子達をキュウリとナスビで釣ると言うのは有名な話です。河童の元々の話は地元の人説では、実は昔、昔に飢餓などで貧しく食べていけなかった時代に間引きされた子ども達で、緑や青色の河童は腐敗した色。赤い色の河童は、赤ちゃんと伝統で言い伝えられています。間引きされたけれど、間引きしたくてした訳では無い。子ども達を思い続ける親心なのだと、私は聞きました。河童を釣るナスビとキュウリは、亡き子ども達を思い、「亡くなっている」と言うことを指す意味があるのだそうです。一見、遊びのように見える河童を釣る行為も、昔を忘れること無く、今の人たちに生きて欲しいと、昔の人たちが伝えてくれた伝統の一つです。先人達の教えを私達は伝統の中で学び、生かしてもらっているのだと思います。被災地でも、お盆の行事はみんな、大切に行っています。何軒も何軒もお参りに回る沢山の方々に出会います。お盆の行事も廃れることなく、私達も次の世代に背中を見せて、しっかり伝えていかなければならないと、思います。