2014年3月5日

ご冥福をお祈り申し上げますって何⁉︎

子どもさんたちと故人の身だしなみを整えていると、隣のお部屋から
「ご冥福をお祈り申し上げます。」と聞こえてきて、子どもさんたちが聞いた事のない言葉に
「???・・・」
次いで「ご冥福をお祈り申し上げますって何⁉︎」と私に聞いてきた。子どもさんたちに近所のお婆ちゃんが、こう答えた。
「神さまや仏さまの、私たちには見えない力に守られての、あちらの世界での幸せをお祈りしています。って言うこと。死んだら終わりではなくて、生きている私たちが一生懸命手を合わせて、応援しなくちゃいけないんだよ。」さすが、お年寄りの言葉には説得力があった。
色々尽くしていただいた後でも、棺の蓋を閉める時、泣き出す人が居ます。大切な家族を亡くせば、当然の感情と言えるでしょう。
そういう時は、その感情を大切にしながら、もう一度開けてお別れをしていただきます。
「ごめんなさいね、閉めるの早かったですね。心配なことは無いですか?」など、少し会話をしてから
「実はこの窓がね、開くんです。」と、棺の窓の説明をします。今は、棺の窓がスライドするタイプの物が多い。昔は、棺の窓がフィルムのみで触れられなかったけれど、今は棺の蓋を閉めても、フィルムがスライドして触れることが出来るので、ご家族はとても喜ばれます。
窓をスライドさせて触れられることを知ると、皆さんそこから、様々に話し掛けられています。本物の仏衣を見たり、本物の棺を見ると、
「本当に亡くなってしまったんだ。」という感情が湧いてきます。ですから、その人その人に合わせて進めます。
「ご冥福をお祈り申し上げます。」の意味を知った子どもさんたちは、
「お婆ちゃんが、生きている時に行ってたの。「早く、お爺ちゃんに会いたいなぁ。」って。だから、お婆ちゃん、お爺ちゃんに会えると幸せってことでしょ?」子どもさんたちは、お爺ちゃんがお婆ちゃんを「綺麗だね。」って褒めてくれるように、お婆ちゃんのお化粧を一生懸命してくれました。
「お婆ちゃんが、お爺ちゃんの所に行ってしまうのは、とってもとっても淋しいけれど、お婆ちゃんが幸せなら、みんなで応援するからね。」泣きながらの、みんなの言葉。
みんながしてくれたお化粧を、お爺ちゃんもとっても喜んでくれていると、私は思いました。悲しみの中には、大切な想い出があります。だから、悲しい。そういう気持ちを、大切に大切に出来たらいいな、と思っています。