2013年11月29日

「お空の上から来たんでしょ?」

20131128-135410.jpg
 昨日の講演の時、昔のことを思い出しました。約20年前、巫女長に任命されての最初の仕事として私は、児童養護施設を巫女として、訪問をさせていただいたことがありました。「献菓祭」という祭典があり、様々な菓子企業さんから献菓された品が、本殿を埋め尽くします。舞を奉納する当番だった私は、神主さん方々と、その神様に奉納されたお菓子を、児童養護施設に届けに行くお役目をいただきました。施設にお邪魔して、園長先生に「絶対に同情をしないで欲しい。」と様々な説明を受けました。子どもさんたちは、両親が何らかの事情で育てられない、家庭に何らかの問題があって引き取られた子どもさんたち、両親が亡くなるなどの事情を持つ子どもさんたちであることを、教えていただきました。学校を休んでいた中学校に通う子と、施設の体育館でバトミントンをしました。巫女さんの装束をつけたままで。「この格好で、けっこう動けるもんなんだね。」と、二人で笑いました。今も若いですが、当時は今よりも少し⁉若かったので、ずいぶん動けた気がします。(と、言っている時点で・・・あっ(*_*))園長先生から色々教えていただきながら、神主さんと園長先生の会話が進む中、何となく窓の外を見ると降っていた雨が少し弱くなり、空に陽が差していました。「少し外へ行って見ます。」と言って、今、伺った話を考えながら、気が付いたら施設の玄関に立っていました。「雨が止むかなぁ。」空を眺めていると、「神様、おいで〜!」と、声がしました。声のする方に目を向けると、1歳〜3歳位までの子どもさんたちが10人以上、その場にしゃがんで小さな傘を差していました。「神様、雨に濡れちゃうから、こっちにおいで〜。」と、ちっちゃな手で手招きをして、みんなが私を神様だと思って呼んでくれます。正直、園長先生に「同情はするな」と言われたのにもかかわらず、とっても可愛らしい、その子達の姿に、私は泣きそうでした。施設の先生方々も呼んで下さって、子どもさん達の所に行き、みんなと一緒にしゃがんでみました。小さな小さな子ども達は、本当に小さな傘をみんなで私にさしてくれて、見ると自分たちは濡れていて、施設の先生方々は、その光景を見守っていました。そして私は、我慢していた涙が出て来てしまって、先生方々が子どもさんたちに説明をしました。「みんなに優しくしてもらって、神様は嬉しいんだって。」子どもさんたちは、ニコニコ笑っていました。子どもさんたちに私は、頭を撫でてもらって、「よし、よし。」としてもらいました。「神様は、お空の上から来たんでしょ?」と聞かれた私は、話すと号泣しそうで、大きく頷くことしか出来ませんでした。施設に引き取られた子どもさんたちは、いのちを育み、施設の先生が親となり、育てられていました。大人数の家族の姿が、そこにはありました。昨日の講演で出逢った、児童養護施設に勤めることが決まっている学生さん達は、これからみんなの親になるんだなぁ。と、そう思いました。社会の中には、自分が知らない世界がいっぱいあります。出逢うことは、自分が知らない世界がいっぱいあることを知ることが出来ます。生きている「今」は、生かされている「今」であり、「今」しかない「今」であること。出来ないことを嘆くよりも、出来ること見付けて判断して、一つずつ積み重ねることがきっと大事なんだと、知らなかった世界に出逢う度に、思うことです。ご縁に感謝です。m(_ _)m

20131128-151632.jpg
子ども夢ハウスのお父さん、藤原茂先生の児童養護施設に勤めていらした時のお話が、私はとても大好きで、そのお話の中には、人は色んな経験や出逢いによって育まれることがあるんだと、いつも教えてもらえます。(*^^*)社会がどんな風に作られているのか、専門の人たちがつながれる事が何より、人と人がつながれることが、一人一人の「人」の幸せの価値に近づけるのかもしれません。