2013年9月12日

自分の人生は、誰も代わってくれない

今日は、生前予約と納棺でご縁をいただいたお家へ、一日いっぱいの時間を使って訪問して歩かせていただきました。亡くなられていく方は「誰も自分の人生を代わってくれない。何より代わってもらわなくてもいい。生きてきたいままでのこと、いい事も悪いこともひっくるめての人生だったから、誰にも渡せないなぁ。」と、笑顔を見せて下さって、そうおっしゃいます。壮絶な人生経験を教えて下さいます。ご家族は、「病気になった本人を丸ごと受け入れられないのではなく、希望が無くなった自分を受け入れられなかった」とお話しをして下さいます。死を迎える方が色々と教えてくださることの中に、「残された時間、誰かに何かを求めるよりも、自分の中の何かに気が付いてあげる方が大事だよね。そして行動してみること。」と、いのちの見つめ方を教えてくれます。そして「許されるなら、もっと大きな世界の中での、一部分になってみたかった。もっと広い世界を経験したかった。」様々な職種のプロフェッショナルであるご本人一人一人は、トップリーダーと人から言われて惜しまれていても尚、まだまだ、仕事に対して世界観を広く持たれることに諦めてはいません。いのちが終わるのを知っている人は、心を磨く手段を知っています。いや、生きていることを意識出来ている人は、いのちの輝かせ方を知っています。「笹原さん、誰だって明日生きれる保証は無いよ。チャレンジ、忘れないんだよ。」時間の使い方を、心の休め方を、笑顔、忍耐、見守ることの意味を、積み重ねる努力の大切さを、感謝の気持ちの持ち方を伝授して下さいます。以前、納棺をさせていただいたお家で、「娘がね(小学校四年生)、「笹原さんが悲しい時があったら、私が傍に居てあげるんだ。」って言ってましたよ。」とお母さんに教えてもらいました。「あら、早い内に支えてもらうかもしれませんよ。」とお話ししました。この仕事は、とても悲しい仕事です。けれど、悲しい気持の中に確実にお一人お一人との想い出があります。私も嘆くし、苦しいし、涙も止まらないことが多くあります。でも、それ位、人と出逢えることの凄さを知り、お別れする嘆きを抱え、一緒の時間を過ごしていただいた笑顔が宝物として存在していることを、その中から教えてもらいます。「うん、自分の中に生きていてくださっている。」何故か、そう思えると悲しいけど、淋しくない気持ちがあります。「絶対に忘れない。あの時間を。」想い出と共に生きることが、やっと出来るようになったかもしれないな、と、最近思います。それはお空の上に逝かれた皆さんが教えてくれたこと、その存在があったから。例え出逢って、お別れまでの時間が短くても、長い短いに価値は無く、その方お一人お一人との出逢いが、いのちをこんなに意識する世界を深く教えてくれました。明日は震災から二年半です。きっと一日中、考えていることは一つだと思います。「亡くなった方のいのちは、生きている人が輝かせてあげること。そして、忘れないこと。」