2013年9月19日

東陵学区健全育成連絡会 様講演

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 本日、講演に伺いました。会場は中学校です。

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みなさんがお仕事を終えた夕方からの講演。グラウンドでは、盛んに部活動の練習が行われていました。

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被災地でご家族を亡くされた方、未だ見付からないご家族を一生懸命探されている皆さん、祖父母を震災で亡くした子どもさん達が聞きに来て下さっていました。校長先生も震災で大切なご友人を亡くされ、まだ行方不明である、大切なお話を皆さんに教えて下さいました。印象に残ったのは、行方不明のお父さんを一生懸命探すお母さんの後ろ姿を見て来た娘さん。お二人とお話をさせてもらった時、「この子は一生懸命、この二年半以上、お母さんに寄り添って来てくれたんだなぁ。」と、思いました。この子と、見付からない「おじいちゃん」が重なって見えました。おじいちゃんが生きていらしたら、この子と同じく寄り添っていらしたのかなぁ。そう感じながら、震災は、まだまだ終わっていないことを確信しながら、皆さんの悲しみの中にある、深い思いやりを沢山見付けました。

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 お母さんと娘さんの親子が大事に持っていてくれたのは、「おもかげ復元師の震災絵日記」でした。講演終了後、サインを書かせていただいた時に、捜索状況を伺いました。「時々、警察に行くんです。もしかしたら、見つかっていてくれたら良いなって、そう思って毎回行きます。」お母さんが泣きながら教えてくれました。「警察の皆さんも、海上保安庁の皆さんも諦めずに、今でも皆さんがまだまだ捜索を続けてくれていますよね。」と私もお話しをすると、「そうなんです。本当に有難いです。捜索してもらっている姿は、私たち遺族の希望の光です。私、震災初期から、安置所で沢山、亡くなった方達に会いました。どんどん皆さんの状態が変わっていく姿をずっと見ました。今でも沢山の方の悲しい表情が、記憶に残っています。一番忘れられないのは、2〜3ヶ月の赤ちゃんの亡骸でした。小さくて。その後にお母さんの亡骸が見付かって、お母さんは、その子を抱えたままの固まった姿でした。腕の形がそれを教えてくれていました。でも、お母さんの腕の中には、その子は居ませんでした。津波で腕の中から赤ちゃんが抜けちゃったのかなぁと思って、悲しくて泣いてしまいました。子どもを守りたい、母親の気持ちが良く分かりますから。」流れる涙を拭くことなく、お母さんはずっと娘さんの前で、とても素直にお話をしてくれました。娘さんは、身を乗り出して、涙目になって、お話をずっと続けられる、お母さんを見守っていました。

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お母さんが言いました。「笹原さんに、父が見付かったら、復元をお願いするつもりでした。もし今後、父の骨が見付かったら、指一本でも、足の骨一つでも、復元してもらえませんか!」切実なまなざしでした。「もちろん、お母さんもいっしょに復元しましょうね。」そう、お約束をしました。実は、「骨が見付かったら、復元をお願いしたいです‼」と言うお話は、現在も多くあります。だから、東日本大震災は、まだ終わっていません。今日の講演内容の一つには、心無い誰かに「不幸」と言われて、非常に落ち込むご遺族とご縁をいただくことが最近、多くなりました。と言うお話をしました。「誰かに何と言われようと、自分の感情は人に決められて良いものでしょうか?自分の感情は、亡くした大切な家族の人生を知っているのだから、やっぱり自分で決めましょう。死は不幸じゃない。生きていたから、死があるんです。死は、人生そのものです。人に不幸と言われても落ち込まないで下さい。言う人は自分の価値で言って来ます。自分の価値と違うなら、その言葉を自分の心に入れる必要は無いと思います。理由は、その人の人生丸ごと、不幸と言う価値になってしまうから。そうじゃない。誰かは、一人でも、亡くなったその人の味方でいて欲しい。私は、そのためのお手伝いに、現場に行っていますから・・・(後略)」等のお話をさせていただきました。だから何を言われようとも、今でも東日本大震災の行方不明の皆さんに対して、私も諦めてはいない。その思いは、今も変わりません。お母さん曰く「父の好きだった甘い物を、時々、海に流しに行きます。子どもたちもいっしょに、主人もいっしょに行ってくれます。」「お母さん、ひとりぼっちじゃなかったんですね。素敵なご家族ですね。」そう、私がお話しすると、「父に届くように海に流す時、私は上から下に向かって海に投げるんですけど、主人が「おまえ、その投げ方は無いんじゃないの?せめて、下から上に向かって海に投げてあげなさいよ。」と言われます。(笑)」この話の前に夢に出て来ないと言う話をしていたので、「お母さん、お父さんが夢に出て来られない原因、それじゃない?(笑)」と私が言うと娘さんがクスッと笑いました。お母さん、「あらららら!そっかぁ。(笑)でも、どちらにしても海に投げるんですけど、カモメが持って行っちゃいます(笑)」お母さんのお話にみんな大笑いしました。カモメがお父さんの所に持って行ってくれるのかな?そうお話ししていました。「おもかげ復元師の震災絵日記」も、「おもかげ復元師」も、本当に出版させてもらえて良かった。今日もまた、出版に関わって下さった皆さんに、深く感謝していました。ありがとうございました。