2013年9月22日

使命感との出逢い

東日本大震災の中で必死に動き続けた安置所の中で出逢った、警察官の使命感。遺族に胸ぐらを掴まれても、耐える警察官が沢山居た。誰も悪くないのは、みんな分かっている。見付からない悲しみが怒りに変わる人が多かった。警察官に言ったことがある。「どうして、あの時、何も言わなかったの?」警察官が言った。「ここに(安置所)にずっと居るとね、痛いほど悲しみが伝わってくる。僕で良いなら、悲しみをぶつけてもらって良いと思った。自分には、今、それしか出来ないから。今、ここに居る人を守ることに集中する。」警察官だって、津波で家族を亡くしていた人は沢山居た。今も捜索を続けてくれる警察官、被災地を離れてその地域の治安を守りながら、被災地を思い続けてくれる人は沢山居る。生きている人も、亡くなった人も、自分が守るんだと言う使命感をすぐ近くで感じて、揺るがない定まっている目的に、「使命感って、すごいなぁ。」今でもずっとそう思っている。セミナーに行くと、強い使命感を持つ人達に出逢う。ERやICUの「いのち」の火が消える時は、私の復元の現場にすごく近いと思う。だから、悩んでいることを教えてもらう度に、すごくよく理解出来る。「復元の現場は、私も現場で始めてお会いする方ばかりです。だから、現場では、いつも悩んでいます。聞き逃さない、見落とさない、そのことに集中して関わらせていただきます。」切ない現場に立つと、自分も壊れそうになることが多くあります。その時にいつも思うのは、自分が何故、ここに居るのか。と言う自身への問い掛けをします。勇気をくれるのは、ご遺族がお話しして下さる御本人の人生の思い出。背中を押してくれるのは、ご遺族の「最後にもう一度、会いたい」の言葉。一歩踏み出せるのは、その前に関わってくれた使命感を持つプロの人達の存在。今、自分が立たされている位置は、みんなが力一杯尽くされて来たからこそある、今。最初から諦めないし、ご遺族の安堵した表情にたどり着くまでは、こちらも気を緩めない。今日のセミナーでは、参加型納棺を始めたきっかけのお話をしました。お母さんを亡くした子どもたちとの出逢いが、私の全てを変えました。彼らは小学校の低学年でしたが、「お母さん、起きて‼」と必死にお母さんを起こしている現場のスタートから始まりました。納棺が終わった後に、お家の玄関の外に居たクラスメートから「お前、お母さんが死んでかわいそう。」私の目の前で、そう言われていました。彼は、言いました。「僕は、ずっとお母さんが大好き。これからも、その気持ちは変わらないよ。だから、僕は、かわいそうじゃないよ。」彼は、とても良い表情をしていました。お母さん、立派に育てていらしたなぁ、私はそう思いながら、沢山悩みながらだったけど、一緒に納棺が出来て良かった。と思いました。子どもたちの、お母さんに対しての思いが、私の全てを変えた、そういう出逢いでした。大人が勇気を出さないと、子どもも勇気を出せないかもしれないと思った時間でした。出来ない理由を探すよりも、少しの光でも探して行くこと、決断すること、ご遺族の気持ちとすり合わせながら、思い込みを捨てて進めること、現場で忘れてはいけないことが沢山ありますが、それは全て「今」を理解して行く作業につながっているかを確認しながら、ご遺族と一歩ずつ、これからも進めることが出来たら良いなと思います。生きていると葛藤も多い。セミナーの中では、使命感を持つ人達が本当に多いので、私もパワーをもらいます。皆さんと、それぞれの現場のこと、考えて話し合える時間でした。今日のセミナーでのご縁にも、心より感謝申し上げます。皆さんの益々のご活躍をお祈り申し上げています。ありがとうございました。